精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

祝!

先日、アクセス解析見たら、いつも1-10回くらいなのに、40回超えてました。かなり嬉しいです。けど、びっくりです。ツイッターからのアクセスだったみたいです。有難う御座いました。

 

かなりコアだし、楽しいブログではないし、最後まで読んで頂けるのか、とか心配です。。

 

星を下さる、ぼっちさん、初めて見た時は、間違えて押さはったんちゃうか、と思いました。再訪問して頂けていること、とても励まされます。

 

いろいろな方のブログに触発されて、自由連想で書いておりますが、こんなに真剣に文章書くなんて、学生時代に戻った気分です。

 

アクセスあると、励みになりますが、コメントもしてもらえるともっと嬉しいです。

 

分かる、さっぱり分からん、何言うてんねんや、何でも結構です。これからもどうぞ宜しくお願い致します。

続 ED: 去勢 と 回帰願望

去勢とか、割礼とか…

もうその言葉聞くだけで

「痛っ。」

って感じなので、リサーチしたことなかったのですが

EDについて書いた

EDと、父親不在と、村上春樹 - 精神分析のススメ

後に、こんな記事を見つけて、触発されてしまいました。

www.machikado-creative.jp

 

5歳さんお勧めの

「中国王朝最後の皇帝に仕えた宦官の話、浅田次郎の『蒼穹の昴』という小説」

是非読んでみようと思います。

 

フロイト自身、男児の死の恐怖を「去勢不安」と名付けたのだし

直接「去勢」に関する幻想(ファンタシー)の事例が色々あっても良さそうなのに

あまり聞いたことないのは 私が不勉強なだけ 摩訶不可思議なのですが…

 

フロイトの居たウィーンでは当時

マスターべションはおろか

ちんをもじょもじょ触ってるだけでも

男の子は、

「そんなことしてたらおちんちん腐っておっこってしまうでっ」

とか、

「ちょん切るでっ」

って感じで(主に乳母の女性に)怒られたそうです。

 

子供騙しの脅しとはいえ、何とオソロシい。

 

更には、フロイトが診ていた由緒正しいユダヤ人の御子息方は、

割礼(ちんの先っちょをちょン切ってしまうという

想像するだに膝がガクガクになってしまう恐ろしい宗教儀式)

を物心つかない幼少のみぎりとはいえ

通過しておられるので…

さぞかしビビッドな幻想を描けたことでしょう。

 

可哀相に当時の男子はマスターべションする度に

「ちんちん無くなったらどうしよぉぉぉ」

って慄いていた、と言うことです。

 

しかし、そんな脅し文句は

「心身の健全な発育を妨げる」

ということで、

おそらく、そういう言葉は

教育熱心なブルジョワの間ではあっと言う間に使われなくなったのでしょう。

(特にミセス・クライン以降)精神分析の有名どころの事例で

「去勢不安」という言葉が出てくると

大体、身体が壊れる、死んでしまう、等の

ちんちんに限らず、身体全般広範囲を対象とした

「不安」を意味するようになりました。*1

 

ところが、少なくともアメリカンな日常会話で

(って一体どういう日常会話でしょう…?)

カストレーション、「去勢」というと、

圧倒的に女性が男性よりも優位な事を誇示して、蔑んだり、軽んじたりすること

で、男性の威厳をそこなう、という文脈で使われている気がします。

 

印象深い用例といえば

30代の不安神経症の男性の方による

母親と父親のやり取りの描写です。

感謝祭の晩餐で出される丸ごとの七面鳥は通常

家長の父親が切り分ける習慣だそうです。

が、彼の家では毎年の如く

父親が切り分けようとすると、母親が電動ナイフを持ち出してきて

「そんなん、あんたみたいにちんたら切っとったら

明日になっても、肉、食われへんわっ」

という罵詈雑言と共に、ブィーンと、スイッチオンされて、

最終的には母親が切り分けておられた

ということでした。

 

彼は、母親を「去勢」する女

父親を「男性性を剥奪された」男

と描写しておられました。

 

当然、長男の彼は父親と同一化することに強烈な抵抗を抱きつつも

母親から「男性性を剥奪された」感を拭えないまま

大人になってしまいました。

 

異文化比較論になってしまいますが、

アメリカの嫉妬深い彼女達もかなり強烈です。

 

5歳さんが描かれておられる様に、

他の女性が視界に入っただけでも嫉妬されるので、

テレビもおちおち見ていられないことも…

 

まあ、でも…

大多数は、息苦しくなるとさっさと手を切って

他の女に手を出す不義理な、アメリカン男性。

 

5歳さんの様に、ちんを切るという

服従と忠誠の誓いと覚悟の象徴」

をもって、妻の信頼を回復したい!

という斬新な発想は

えげつない下ネタ満載な

スタンダップコメディの冗談にも中々出てきません。

 

勝手ですが、5歳さんのチン切って

「一生の服従と忠誠を誓う」

なんていうのは、女皇帝様に憧れるMな日本男児の幻想

というよりは、

母子一体感への回帰願望の現われ

なのではないかと勘ぐってしまいます。

 

可愛い奥様の嫉妬心を宥めるのには

母子一体感回帰幻想に浸って

「ママ僕良い子だよ。喜んで。」

と、訴えるのではなく

大人の男として、「オンナ」を満足させることが必要

なのではないでしょうか。

ちんが無くて如何に、女を満足させられましょうか?

男がシャンとしていないから、女も「規制心」を失って、

「モトカノ殺す」

とか物騒なことを言い出すに決まってます。

 

「そんなんちゃう、ちゃう、あんた何も分かってないなあ」

というのであれば、是非とも反論を聞きたいものです。

 

「破壊衝動」を上手く「規制」した上での「革新」や

「創造性」といった機能こそが

自己実現を果たした、あるべき姿の「父性」であり

「男性」像でもあります。

可愛い男の子が二人もいらっしゃるのに

5歳さんがちんをちょん切って

「お母さん」に「服従」してしまっては

母親が2人になってしまい

彼らは同一化すべき「強い」「格好良い」父親

を失ってしまいます。

 

更に、中国について言えば

本読んでもいないし、史実全く無知で、思いっきり勝手なこと言いますが

チンを切ってまで「一生の服従」を誓った宦官がざらざら居ても

「男」たるモノが孕む新しい可能性を犠牲にしては

如何に4000年の歴史があろうとも

没滅を防ぐことが出来なかったのも当然至極でしょう。

 

日本の男性諸氏に、もう一回。言わせて貰います。

 

ちんをくれぐれも大切になさって下さい。

 

只でさえ「父性欠如」とか言ってるんだから

ちん、ちょん切ってしまわれては

日本の明るい未来はありえません。

 

日本の「男は辛いよ」シリーズに、興味のある方は、こちらもどうぞ。

EDと、父親不在と、村上春樹 - 精神分析のススメ

ハゲもヒゲも駄目ってどういうことよ? - 精神分析のススメ

*1:って、「ホンマかー。」と突っ込まれると困ります。推測入りまくったイイ加減な歴史解釈です。

EDと、父親不在と、村上春樹

最初にお断りしておきますが…

村上春樹氏がEDという話では決してありません。

 

「父親」、「母親」、というのは便宜的に使っているだけで、実際の両親ではなく、象徴的な言語だとご理解下さい。

 

性依存の話が終わったところで、EDっていうのは、

ちょっと野心的すぎ?

ですが、精神分析のススメですからね。

 

性(生)エネルギーに直接関係したトピックが求められているかな…

という理由は全くの後付で

最近、村上春樹氏の「パンや再襲撃」を読んだのと

皆が大好きEDを公言して憚らないはてなの有名人

id:Delete_All フミコさんに

触発されました。

 

自己実現できた大人になるって実はとても大変な事です。

と、最近特に感じます。

色々な方のブログを読むにつけ

日本人の男性には日本特有の困難が付きまとっていると感じます。

 

EDや、EDを含む性機能障害(インポテンツ)は

 

心理的に男として機能できていない

ということが肉体的に表現された心身症である

 

といえましょう。

 

たまに立たないのは、当たり前ですが…

勃たないことがショックで後を引く

勃たないかもしれないから…お薬に頼る

というのは、立派に心の病です。

 

大人の男になる、ということは

子供を持つ持たないに関わらず

「父」との同一化を果たすということでもあります。

 

「日本には父親がいない」

と言う話が鈴木晶氏と内田樹氏の対談本にありました。

(大人は愉しい ちくま文庫

 

全く同感です。

 

更に、日本の男性は大人の男として自我を確立する上で

「母」という女性原理に同一化しなければならない…

現代日本の社会問題は

父親不在の問題ではなく、母親機能不全の問題だ

ということで

「ふぉー。上手にまとめはるなあ」

と感心させられました。

 

お二方は離婚されておられるので

特に「母」を満足させられない

「父」の不能感も痛感されておられることでしょう。

私のような若輩者が言うのはまことに不遜ですが

痛々しいことです。

 

ブログで様々な男性の

職場での不満や父親との戦い(又は全く触れていない)を

読むに付け

男性原理の欠如、女性原理の機能不全が

如実に浮き上がってくるように思います。

 

私がブログに惹き込まれる理由の一つには、

 

読んでいると、現実と幻想の錯綜を感じるからです。

 

ネットでは現実で他人に吐くには躊躇するような

言葉の暴力が頻繁に起こりえます。

 

慮りだらけでがんじがらめになっているかと思えば

このような、破壊衝動の無法地帯が発生してしまうのは

職場での上司とのやり取りや

面接の描写を読んでいると顕著な

他人の「上に立つ立場」に在る男性の不全性、

ひいては「父の不在」に端を発しているように感じます。

 

「父親の機能」とは、簡単に言うなら

「破壊性の制御」による「創造性の実現」を図ること

に尽きると思います。

 

先輩分析家の言葉を借りると

「ペニスの扱い方を教える」

と言えましょう。

 

ここからは、あくまで象徴的言語です

ので、本気で子育ての知恵にされると困ります

 

念のために誤使用の注意を貼っておきます

免責事項 自己紹介に換えて - 精神分析のススメ

 

フロイトの心理発達理論に沿うと

男児の発育に於いて「ペニスの扱い」が課題となる時期は

2回訪れると言えましょう。

 

まずは名前からも明らかですが、

3-6歳頃の、男根期(エディプス期とも言います)です。

 

具体的に言いますと…

この時期に、男子は立ちションを覚えます。

おしっこするときに、

トイレを汚さないように、

いかにおちんちんを支え、標的を定めるか…

 

母親からの分離に際し(父親の)助けが必要

と同時に、

対抗心の芽生えとともに、勝負に勝つ為には、

攻撃衝動に明確な方向性や、計画性、戦術を与える

という、(父親からの)教唆が必要になる時期でもあります。

 

この時期は「遊び」も「真剣勝負」ですが、

父親が大人気なく徹底的にやり込めてしまっては大変困ります。

 

大人に「勝てない」絶望感を克服できないと

鬱な男性の自己不全感や

自己愛な男性の「羨望」として

後々の「神経症」の核となってしまうからです。

 

かと言って「父」が安易に敗北してしまうのも問題です。

「勝利」にまつわる「父」の壊滅に対する「罪悪感」に苛まれ

「成功」しそうになると

わざと失敗したり、鬱でやる気を失う

といった古典的どMな「神経症」になってしまいます。

 

フロイトは、性器期(9-12歳)の親との関係については

あまり述べていませんが

この時期には心身(=ペニス)に大きな変動が起きます。

 

可愛い男の子から、魅力的な男性に

スムーズに移行するためには

更なる母親との「断絶」と、自己の「革新」

といった「父親の機能」の働きが必要です。

 

男根期に尿の処理に助けが必要であったように、

性器期においては精液の処理にも(父親の)助けが必要です。

 

ペニスから出てくる尿と精液を適切に処理し

男性の「身体」に対する清潔感や、自信感を育む為には

「父の機能」が不可欠です。

 

母親がいつまでもおちんちんの世話をしていては

「母子分離」が不可能なばかりか…

 

過剰な性的興奮に苛まれ

近親相姦に対する不安が昂じて

性的興奮への葛藤が耐え難く感じる

という由々しき事態へと発展します。

 

(母親がいない)「世界は楽しい感」、

(母親がいなくても)「自分は大丈夫、できる!」

という自信と達成感

を抱かせるという重要な機能は

「母子」という二者間の繋がりに割って入る

「第三者」である

「父」が果たさねばならないモノなのです。

  

前置きが長くなりましたが、

ここからが村上春樹氏の「パンや再襲撃」の感想(?)です。

 

「パンや再襲撃」は

正に父親不在のトラウマを

女性(=母親)の助けを借りて克服しようとする

日本男児の話のように思われます。

 

結婚したカップルが、ある晩耐え難い飢餓感に襲われ、

妻の主導権の下、二人で

(深夜開いているパン屋がないので仕方なく)

マクドナルドを襲撃する話です。

 

二人の飢餓感を満たすには、

10余年前に尻すぼみに終わった夫の「犯罪」

パン屋襲撃を敢行し、

成功させなければならない。

と妻が信じるが故、二人は犯行に及ぶ。

というのが大変興味深い点です。

 

若き日の夫は働くことを拒否し

パン屋を襲撃することで

その日を食いつなごうとします。

 

働き、社会に迎合することを拒否する、

と言うのは成人する前に通過する

「父なるモノ」への反逆である

といえましょう。

 

若い彼らの反逆の試みが、

「父性なき父」である

パン屋の主人*1

非暴力的な申し出によって方向性を失ってしまう。

 

大変理不尽ですが、

「父」なるものと勝負できなかったことが

トラウマになり得る

ということだと思います。

 

河合隼雄氏のいわれた

物分り良すぎる親では困る

という言葉が思い出されます。

 

パン屋の主人が

ワーグナーのレコードを持ち出すのではなく

じゃんけんで勝負でもしてくれたら

再襲撃しなくてよかったのかもしれません。

(私は平和主義ですが

マクドナルドなんか

どんどん襲撃されて結構

とおもってしまいます。)

 

村上春樹氏の描かれる世界(少なくとも長編)では

常に女性(=母)は

突然消えうせてしまう存在です。

これも、母子分離が父親の補助によって

徐々になされない為

トラウマになって残ってしまう日本人の*2

深層心理に深く訴えかける所以ではないでしょうか。

 

母親との一体感が突然失われるという幻想(内的現実)は

愛されない自分

全能感に欠ける自分

として、子供の心に

・欠乏感

・愛情飢餓

・分離不安

そして…

・全能感の欠如 (ED に如実な不能感の種) 

となって残ります。

 

そこで、日本男性諸氏にアドバイスですが、

バイアグラや、シアリスには危険な副作用がつきものです。

マスターべションで立つのに、

女性相手で立たないというのは、

身体要因ではありません。

 

100%心理的要因です。

 

女というモノに対する恨みつらみもありましょうが‥

男性を男性たらしめる「攻撃性」に対する怖れ

挫折に対する不安

羞恥心と立ち向かい

自分のモノとして受け入れ、慈しむことで

「規制心」を養うことが大切だと言わせて戴きたい所です。

 

父親不在テーマ、こんなんも書いてます。

続 ED: 去勢 と 回帰願望 - 精神分析のススメ

発達障害のメタファー 「亜人」 - 精神分析のススメ

バカボンのパパなのだー の ススメ - 精神分析のススメ

鬼嫁に魅せられる男達 - 精神分析のススメ

 

理想の父についても考察してみました

【ハロウィン】若者の暴徒化 と 「コントロール」 - 精神分析のススメ

*1:パン=乳の代わり ということで

「父」が「母」の代わりでしかあり得ないことの象徴だと思います

*2:だけじゃないから、世界各国で翻訳されるんでしょうね

【性依存症】 カエデさん その5.依存からの脱却 充足と共感

neofreudian.hatenablog.com

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一応、これらの記事の最終回です。

今日は、アメリカが誇る分析の大家、

偉大な火星人*1

ちゃうちゃう、

コフート大先生に挑戦してみます。

 

精神分析的アプローチのみで、

境界例の治療に及ぶのは、

はっきり言って無謀だ。

 

というのが現在アメリカでは一般的な見解です。

 

が、例えば認知療法や行動療法で、

リスカ等の自傷行為や、

自殺願望、薬物依存等の症状緩和のみに

注目していると、

根源にある愛情飢餓感、

断絶不安を解消できるわけではないので 

もぐらたたき状態で、

ひとつの症状が治まると

異なる症状が出てしまうこともままあります。

 

カエデさんの、

「依存先が性行為から彼氏になっただけなのでは?とも思っている」

という懸念は、

この根底にある飢餓感、不安感を

拭い切れないからではないでしょうか。

 

カエデさんの記事はこちらです。

性依存症 気が狂うほどの性欲に押しつぶされる – メンヘラ.jp

 

彼女の記述で、グッときてしまったのが、

「相変わらず過去のトラウマ等々で

事後ヒステリーを起こしたりすることも

多々あるのですが、

隣で彼氏が一緒に泣いてくれるので、乗り切れています。

 

というクダリです。

 

最近…

と言ってもここ20年ですが…*2

心理学では、

母子関係の研究を元に、

共感力を助長する母親、

情動調整能力*3を伸ばす

母親のあり方が明らかになってきています。

 

泣いている赤ちゃんを泣き止ませたり、

泣きそうな赤ちゃんを落ち着かせることができる母親とは、

赤ちゃんの要求に、敏感かつ速やかに対応し、

「抱きしめる」母親

というのは当たり前過ぎる結論です。

が、それでは全面的に母親に頼る、非力な赤ちゃん像しか

浮かび上がってきません。

 

そこで、「理想のママは魔法使い」論に反し、

真の情動調整力は、

母親が要求に応じてくれるから伸びるのではなく、

元々赤ちゃんが持っている

という観点から

赤ちゃんの発達を助ける母親とは、

赤ちゃんの興奮状態に、自分の表情や

声の調子を合わせて同調する(歩み寄る)ことで、

赤ちゃんの情動調節をリードすることができる母親である。

ということが言われ始めています。

 

どんなママかと簡単に言うと、

興奮してキーっと叫ぶ赤ちゃんに合わせて、

自分も遊び半分で興奮する

声を一旦、一緒に上げてから*4

シーっと宥め、

自分も一緒に興奮して、落ち着けられるママって感じです。

 

この母親像に、

私はハインツ・コフートのいう、双子共感を思い起こしてしまいます。

 

コフートは、境界例と同じく

「感情の混乱が激しくストレスに脆弱な」

B群のパーソナリティ障害の

自己愛性な人々について

中々良い事言ってくれるのですが、

学生時代に読んだっきりで、

ぼんくらな私にはさっぱり訳ワカメ。でしたので、

この方の簡潔極まりない素晴らしいまとめを参照して下さい。

 

http://d.hatena.ne.jp/away_sw/20050222/1109071522

 

シカゴを拠点とし、

余所者にはとーてー理解でけへん独自の言語体系を編み出され、

理論的にはがっつりフロイト拠り、

難解度はラカン級、

まるでおフランスコフート大先生には、

コフート派(= コフーシアン)という、

まるで火星人(= マーシアン)な派閥もついておられます。

 

分析家と患者の関係性という特殊な文脈中、

立ち表れる「転移」という幻想を取り扱う上での

共感の理論を説いておられるので、

このポップな応用を知ったら

お墓の中で身もだえされること間違いなしでしょう。

それは何ぼなんでもちょっと勘違いちゃう?

という部分も無きにしも非ず、

ですが、

分かりやすいし、ま、良いか(笑)ってことで、

こんな解説もありました

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20121115/330782/?ST=p_bizboard

 

「拡大解釈するでないっ」

と、火星人(しつこいっすね)、

じゃなくって、

コフーシアンな大先生方に一喝されるのが

怖いのですが(ビクビク)。

私的には、コフートの双子共感概念は*5

自分を愛する為には、

根源的不安や、不足感を、

(母親的な?)他者から「良い物」「必要な物」を

与えられることによって

解消するだけではなく、

絶望感や、破壊衝動をも分かち合える

理解あれども、

一緒に絶望や破壊衝動に翻弄されてしまうことのない、

揺らぎない(父親的な?)誰かが存在している、

と感じることで充足、安心感を得ることが必要、

ということにも繫がっているように思えます*6

 

私の推測ですが、

カエデさんは、

きっと彼氏さんと、

お互いの双子共感幻想を充たし合う関係性を

築き上げることができたのではないでしょうか。

 

5回に渡って長々と書き綴りましたが、

お二人が、安心と充足ある関係を続けられることを、

カエデさんが働く喜びを見出せることを、

蔭ながら応援しています。

 

拙い文章に、最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。

*1:すみません

絶賛身内ジョークです

*2:ひえっ。急に老人になった気分だ。(汗)

*3:その2、その3で書いた、自慰力に繫がる力です

*4:自分が先に怒って

興奮、キーっではNGです。

赤ちゃんは

興奮 = 怒り+破壊衝動 

という繋がりを形成してしまいますから

*5:ちょっとビオンとか、

ネオ・クライニアンっぽくなりますが

*6:ちょっとDBT入ってるか…

【性依存症】 カエデさん その4.性依存症はどうしたら治るのか?

一応、この続きです。

neofreudian.hatenablog.com

 

私自身は、

アルコール、薬物、食べ物くらいしか 

依存症の(患者さんを診た)経験はないのですが

ニンフォマニアの患者さんを診たことがある

同僚がいました。

 

その患者さんは

優しくて、めっちゃ甲斐性の在る旦那様と結婚して、

一女を儲けたものの、

ニンフォな性は治らず、

次から次へと男性を引き込んで 

旦那様と鉢合わせることが頻発したそうです。

 

カップルセラピーと平行して 

個人のセラピーにも通い、

更にはAA*1

から派生した、SAA(セックス依存症アノニマス)にも

通ったそうですが、

これらの心理療法による確たる改善が得られたという

実感はなかったそうです。

 

彼女は母親と生き別れ、

養女に出されて、

生みの母親を知らずに育ったそうですが、

性的虐待を受けた記憶もなく、

自分が何故好きでもない人との

肉体関係を欲っするのか分からない、

と悩んでいたそうです。

 

セラピーを始めて数年が経ち、

乳癌を患ってから、

すっかり容姿も衰え

しわしわよぼよぼになってしまい、

以前の様に性欲に翻弄されることもなく、

旦那様との関係も落ち着きを取り戻したそうです。

 

結婚した後で、

生みの母親との再会を果たし、

母親もニンフォだったことを知って

衝撃を受けたとのこと。

 

娘もニンフォになってしまうのではないか、

と危惧されていました。

 

娘さんは、今20歳くらい。

もう、連絡が途絶えて10年近いので、

どうなっているのかは分かりませんが、

ニンフォは負の連鎖というよりは、

遺伝の影響も大きいのかも…*2

と、同僚はのたもうておりました。

 

といった事例もあり、

治療がかなり大変そうなニンフォな方々。

 

にも関わらず、カエデさんは、

「今では、あんなに性行為に執着していたのが嘘のように、

セックスなしでもいいのでただ隣で笑っていてください、

側にいさせてください、

と毎日懇願しています。」

と書けるくらい性欲が治まったというのは、

かなり深いところで自分の闇と対峙してこられたのでは、

と感じます。

 

 カエデさんの書かれた記事はこちらです。

性依存症 気が狂うほどの性欲に押しつぶされる – メンヘラ.jp

 

カウンセリングでも、心療内科でも

「軽くあしらわれてしまった」

と書かれていまるので、

やはり、「治った」理由は「理解ある彼氏」の存在なのでしょう。

 

しかし、「理解ある彼氏」は

眠れるニンフォな美女を求め、

いばらを切り開いて魔法のキスをしてくれるわけではありません。

「理解ある彼氏」の支えを得るには、

「理解ある彼氏」になり得る男性を見出し、

お互い分かりあい

関係を深め真の充足感を得る為の

カエデさんの弛まぬ努力が必要だったはずです。

 

その弛まぬ、

負のスパイラルの歯車になってしまわないような 

勘違いしない努力が

如何にして継続できているのか…

が私にとっては大変興味深いところです。

 

あんまり頑張って疲れ切ってしまうのもイヤなので

今日はこの辺で。

 

最終回は、こちらです。

neofreudian.hatenablog.com

*1:アルコール依存症アノニマス

という、アメリカで普及している 

依存症の方による依存症のための

支援グループです

*2:最近では

世代間のトラウマの伝達

という概念があり

ホロコースト

人種差別等の壮絶な暴力に晒されると

その恐怖と不安が

癒されるには3世代かかる

とも云われていますが…

的確で哀しい【フミコ・フミオ】さんのひきこもり友人とのやりとり。

delete-all.hatenablog.com

この記事読んだだけで、読者になりました。

文章が素晴らしい。

 

精神分析とは趣を異にしますが、

アメリカの心理学者、ウィリアムジェイムス*1も分かり易く

良い事言ってくれるなあ…

と思わせるので、

私は大好きです。

 

http://u-note.me/note/47504033

(ウィリアムジェイムスの、素敵な名言がまとまってます)

 

彼には作家の弟、ヘンリーがいますが

しばしば、ウィリアムの方が文学的才能があって

ヘンリーの方が人間の心理を理解していた

と言われたりもします。

 

20年振りに再会したフミコさんの知り合いのFさんは、引きこもっていました。

彼は、Fさんとの

 

メタリカやガンズ&ローゼスで灰色に彩られた僕の高校生活のなかで、ショートケーキの苺のような、ささやかでスペシャルな思い出になっている。」

 

エピソードが、

 

「尻すぼみに終わってしまった」

 

ことを思い起こし、20年後の今回のエピソードに繋げます。

長い引用になりますが、素敵すぎるので。

 

「そのときもFはこう言ったのだ。「大丈夫か。お前、進学の悩みでもあるのか?」今日はスーツ姿の僕を心配して「昼間からこんなとこにいて大丈夫か。お前、仕事で悩みでもあるのか?」僕は世間体を気にする家族の要請でスーツを着ているけれども、Fと同じ、ただの無職だ。正直に今、働いていないんだ、というのはFの気持ちを裏切る気がして「暑いからさー。営業の合間に水を買いに立ち寄っただけ」と嘘をついた。俺みたいになるなよ、と笑うFに、後ろめたさから、適当に相槌を打つことしか僕には出来なかった。僕みたいに適当にやっている人間のことはいいから、自分の心配をしろよー、そんなんだから壊れるんだぞーとダイレクトに言葉に出来たらどれだけ楽だったろう?」

 

さくっと、たった22分掛けて書いた文章で

見事に、メンヘラとか、引きこもりになってしまう方たちの

「他人を心配、気遣いすぎて自分を壊してしまう」

傾向を捉えています。

 

更には、予期していないタイミングで

鋭い洞察力を持って、

「弱さ」や「痛み」の部分に深く踏み込んでこようとする彼等*2に対して

後ろめたく思いながらも引いてしまう…

やんわり拒絶せざるを得ない「防衛機能」*3

がっちり働いている「普通人」の心理状況を

とても巧みに描いていると思いました。

 

ヘンリージェームスの様な

鋭い心理描写を特徴とする作家さんになられる様

蔭ながら応援しています。

 

p.s. 4月18日の日記、 奥様、めっちゃ怒っておられますね。(汗)これは、もうラブレターを書くしかないです。「メタリカやガンズ&ローゼスで灰色に彩られた僕の人生のなかで、ショートケーキの苺のような、ささやかでスペシャルな貴女へ」って。彼女との結婚を決めた「ささやかでスペシャルな」理由を綿々と書き綴るしかありません。フミコさんの文章力で「合体グランドクロス」に至れなければ、もう離婚の覚悟を決めるしかないでしょう。

 

p.p.s. それと、中ジョッキ、美味しい季節になってきますが、程々に(依存症の記事書いてる最中っすからね)。

*1:実は、今ウィキって彼がフロイトとお友達だったことを知りました。

*2:こういう所が、空気読めない人、というレッテルに繫がるのだとおもいますが

*3:フロイト教授の言う、ディフェンスメカニズムというヤツです

【性依存症】 カエデさん その3.不安と性欲の混同

前回書きましたが、

neofreudian.hatenablog.com

自慰力とは、自分を不快感から解放する能力

例えば 

嫌なことがあっても気分を紛らわせたり、

切り替えることができる能力のことです。

 

自慰=行き場のない性的欲望を解消する手段

というのは、

「不快感」に苛まれる自分を慰める手段の一つであると言えます。

 

不安や、ストレスによる不快感を解消する為に 

性的快感を。

というのは、発達した脳を持った成人に当てはめてると 

ちょっと単純すぎます。

が、

幼い子供には 

ちょっとした挫折、不安、退屈等が 

耐え難く永遠に続く様に感じられたり 

それこそ「押しつぶされて」しまう程に

強烈に感じられたりして

性的刺激を求めることが 

ままあります。

 

子供を見ていると、

生後間もない(厳密なデータはありませんが、私の感触では3-6ヶ月程の)

赤ちゃんでも、

股間をむぎゅむぎゅしたり、

お尻をもじもじさせたりして、

おや?これは、もしかしたら性器を擦って刺激してる?

という動作をする子が少なくありません。

 

保育所などでのお昼寝時間に寝られないと、

股間を毛布などに擦り付ける子供が大体1クラスに2-3人はいる、

という話を保育士さんから

聞いたこともあります。

 

私の個人的な印象ですが、

爪をかんだり、びんぼうゆすりしたりするのと、

同じくらいの割合で性器刺激を求める子供さんがいるのでは、

と思っています。

 

こういった行動を示す子供たちは 

表立って怖がりでなくても 

不安が強く、

安心できる状態を保つ自信をつけてあげられないと、

将来不安神経症に悩まされる可能性が高い 

という印象があります。

 

例えば、

友達(特に女の子)にからかわれて 

怒ると服を脱いでしまう

三才男児

 思うように物事がいかないと、

股間に手を入れてオナニーを始める

脳損傷の18歳女性の

ともすると、

性的と捉えられる行為が 

怒りや、挫折、退屈、といった

所謂「不快」な感情の表現と混合してしまうことは 

少なくありません。

 

思春期前の 

未分化な脳を持つ子供や、

事故等で脳を損傷した患者さんの 

股間を刺激する行為が、

第2次性徴を通過した 

大人のオナニーと 

同じ意味合いを持っているとは 

言えないかもしれません。

 

が、例えば 

神戸連続殺傷事件の少年の様な 

極端な攻撃性と性欲の混同の対極に

愛情と性欲の幸せな一致が 

存在するのではないか、

と私には思われます。

 

言い換えれば、

愛情と性欲の一致は、

実は当たり前の物として享受出来ない程、

幸運な出来事なのではないか、

と思ったりするのです。

 

menhera.jp

カエデさんは、

「ストレス負荷がかかると気が狂うほどの性欲に押しつぶされていました」

とおっしゃっています。

 (今気づいたのですが、てんとう虫さんが交尾してる写真ですね。)(笑)

私には、幼い頃から

「泣いているんだから!早く抱っこして!あやして!」

という要求を受け入れられなかった、

と同時に(又は)

不安が強く、抱っこしてあやしてもらっても泣き止むことができず、

股間刺激で感情の昂揚を治めようとする 

赤ちゃんを思い起こす記述です。

 

カエデさんには 

不幸なことに

自慰行為のせいで罪悪感、

自分が悪いことをした、

汚いことをした、

拒絶された、と感じた経験が 

あったのかもしれません。

 

D.W.ウィニコットという 

英国対象関係論派の精神分析家は、

欲動(リビドー)の一番最初の対象物である 

母なるモノによる「抱きしめる機能」

の重要性を説きました。

 

ブログ7日目にして 

初めて出てくる精神分析理理論です

 

精神分析のススメ って何なの? 

と思って読んでくださった方には 

前置き長すぎ(っていうか、ハズレ記事 多すぎ?)ですね。(苦笑)

 

乳が欲しくて泣き叫ぶ乳幼児は、

自分が壊れてしまう 

恐怖と絶望感を抱く

と云います。

この根源的な不安を 

乳児が克服するには、

お母さんにしっかり抱きしめられて、

授乳される経験を繰り返すことが必要である。

ウィニコットは述べました。

 

自慰力と、それに伴う安定した自我を確立するには、

この抱きしめられる経験を 

繰り返すことが不可欠だというのです。

 

カエデさんは、

自分を生物、無生物、見境なく欲情対象にできる 

「パンセクシュアリティ」 と看做しておられますが、

それは、ウィニコットの言う

「アニヒレーションの不安」 

言語獲得以前の幼児期に経験するとされる 

極限の絶望と、情動の混乱を伴う根源的不安、

いうなれば 

「誰でも、何でも良いから自分をどうにか泣き止めさせて!抱きしめて!」

という必死感を 

自分が乗り越えられた 

という実感、

この先 乗り越えて生きていけるのだ、

という確信を得られなかった故 

なのではないかと思います。

 

自慰力は、自己規制能力にもつながり、

欲動(リビドー)の対象物(母なるモノ)が抱きしめてくれることで 

満ち足り、安心した状態

(「大丈夫」と感じられることだと、私的には解釈しています)

を取り戻し、保つことによって、鍛えられます

(っていうと何だか筋トレみたいですね)。

 

自慰力が上がってくると、

お母さんに抱きしめられなくても、

そばにいてくれるだけで 

見えるだけで 

「大丈夫」な状態、

更にはお母さんが一緒にいてくれなくても 

見えなくなってしまっても 

「大丈夫」な状態に移行し、

ウィニコットの言う「一人でいられる力」が付いてきます。

 

自我確立の萌芽は 

この「一人でいられる力」に 

あるといえましょう。

 

パーソナリティ障害のB群な人々は 

この「抱きしめられる」経験が 

母親不在のせいか、

乳児期の体質・体調のせいか、

母子間の相性のせいか、

充分に得られなかった人達である

精神分析では捉えます。

 

ウィニコット大好きなので、

書きたいことが芋づる状態で噴出しました。

頑張りすぎて、ヘロヘロです。

今日はこの辺で。(嗚呼、疲れた)

 

って、こんな風に、

ことさらに疲れたと言う人はメンヘラでしたっけ?

 

確かに、かなり頑張ったので 

誰かにねぎらって貰いたい気分かも。

しかーし

勝手に好きな事書いて疲れてるんだし、

世の中そんなに甘くない。 

ので、久々に使った脳力充填にチョコ食べて寝ます。

(甘いモノ依存症…)

続きはこちらです。

neofreudian.hatenablog.com