精神分析のススメ

しがないメンヘル職人です。70年代のNYCを風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざしております。

【性依存症】 カエデさん その5.依存からの脱却 充足と共感

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一応、これらの記事の最終回です。 今日は、アメリカが誇る分析の大家、偉大な火星人、ちゃうちゃう、コフート大先生に挑戦してみます。

 

精神分析的アプローチのみで、境界例の治療に及ぶのは、はっきり言って無謀だ。というのが現在アメリカでは一般的な見解です。

 

が、例えば認知療法や行動療法で、リスカ等の自傷行為や、自殺願望、薬物依存等の症状緩和のみに注目していると、根源にある愛情飢餓感、断絶不安を解消できるわけではないので もぐらたたき状態で、ひとつの症状が治まると異なる症状が出てしまうこともままあります。

 

カエデさんの、「依存先が性行為から彼氏になっただけなのでは?とも思っている」という懸念は、この根底にある飢餓感、不安感を拭い切れないからではないでしょうか。

 カエデさんの記事はこちらです。

性依存症 気が狂うほどの性欲に押しつぶされる – メンヘラ.jp

彼女の記述で、グッときてしまったのが、

「相変わらず過去のトラウマ等々で事後ヒステリーを起こしたりすることも多々あるのですが、隣で彼氏が一緒に泣いてくれるので、乗り切れています。

 

というクダリです。

 

最近、と言ってもここ20年か。ひえっ。急に老人になった気分だ。(汗)心理学では、母子関係の研究を元に、共感力を助長する母親、情動調整能力(その2、その3で書いた、自慰力に繫がる力です)を伸ばす母親のあり方が明らかになってきています。

 

泣いている赤ちゃんを、泣き止ませたり、泣きそうな赤ちゃんを落ち着かせることができる母親とは、赤ちゃんの要求に、敏感かつ速やかに対応し、「抱きしめる」母親。というのは当たり前過ぎる結論です。が、それでは全面的に母親に頼る、非力な赤ちゃん像しか浮かび上がってきません。

 

そこで、「理想のママは魔法使い」論に反し、真の情動調整力は、母親が要求に応じてくれるから伸びるのではなく、元々赤ちゃんが持っている、という観点から、赤ちゃんの発達を助ける母親とは、赤ちゃんの興奮状態に、自分の表情とか、声の調子を合わせて同調する(歩み寄る)ことで、赤ちゃんの情動調節をリードすることができる母親である。ということが言われ始めています。

 

どんなママかと簡単に言うと、興奮してキーっと叫ぶ赤ちゃんに合わせて、自分も遊び半分で興奮、声を一旦、一緒に上げてから(自分が先に怒って興奮、キーっではNGです。赤ちゃんは、興奮 = 怒り+破壊衝動 になってしまいますから)、シーっと宥め、自分も一緒に興奮して、落ち着けられるママって感じです。

 

この母親像に、私はハインツ・コフートのいう、双子共感を思い起こしてしまいます。

 

コフートは、境界例と同じく「感情の混乱が激しくストレスに脆弱な」B群のパーソナリティ障害の、自己愛性な人々について中々良い事言ってくれるのですが、学生時代に読んだっきりで、ぼんくらな私にはさっぱり訳ワカメ。でしたので、この方の簡潔極まりない素晴らしいまとめを参照して下さい。

 

http://d.hatena.ne.jp/away_sw/20050222/1109071522

 

シカゴを拠点とし、余所者にはとーてー理解でけへん独自の言語体系を編み出され、理論的にはがっつりフロイト拠り、難解度はラカン級、まるでおフランスコフート大先生には、コフート派(= コフーシアン)という、まるで火星人(= マーシアン)な派閥もついておられます。

 

分析家と患者の関係性という特殊な文脈中、立ち表れる「転移」という幻想を取り扱う上での共感の理論を説いておられるので、このポップな応用を知ったらお墓の中で身もだえされること間違いなしでしょう。それは何ぼなんでもちょっと勘違いちゃう?という部分も無きにしも非ず、ですが、分かりやすいし、ま、良いか(笑)ってことで、こんな解釈も。

 

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20121115/330782/?ST=p_bizboard

 

「拡大解釈するでないっ」と、火星人(しつこいっすね)、じゃなくって、コフーシアンな大先生方に一喝されるのが怖いのですが(ビクビク)。私的には、コフートの双子共感概念は(ビオンとか、ネオ・クライニアンっぽくなりますが)自分を愛する為には、根源的不安や、不足感を、(母親的な?)他者から「良い物」「必要な物」を与えられることによって解消するだけではなく、絶望感や、破壊衝動をも分かち合える、理解あれども、一緒に絶望や破壊衝動に翻弄されてしまうことのない、揺らぎない(父親的な?)誰かが存在している、と感じることで充足、安心感を得ることが必要、ということにも繫がっているように思えます(ちょっとDBT入ってますね)。

 

私の推測ですが、カエデさんは、きっと彼氏さんと、お互いの双子共感幻想を充たし合う関係性を築き上げることができたのではないでしょうか。

 

5回に渡って長々と書き綴りましたが、お二人が、安心と充足ある関係を続けられることを、カエデさんが働く喜びを見出せることを、蔭ながら応援しています。

 

拙い文章に、最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。