精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

強迫性障害の繰り返しと【タコピーの原罪】

ツイッターで話題の漫画が完結した。

 

なんていうか…子供がこんなエグいお話理解できるんか…?

ってなったけど…

どーなんっすかね。

 

子供達の凄惨な現実をガン無視して

いつもハッピーなタコピーの

「躁防衛」には

悲惨な現実に幻想の力で果敢に立ち向かおうとして斃れる

悲劇のヒロイン

ダンサー・イン・ザ・ダーク」のビヨークや

 

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』をネタバレ解説!最後の字幕の意味とは【考察】 | ciatr[シアター]

 

ライフ・イズ・ビューティフル」のコミカルなパパ

pixas.vs.land.to

彷彿してイラつきました。

 

物語の「子供達」がタコピーボコりたくなる気持ち

めちゃくちゃ分かる。

 

時間をもどす「やり直し」の「お話」は

「あんな事しなければよかった…」

という後悔に苛まれる

強迫神経症的幻想」というのが

精神分析学的には定石です。

 

同じ事を繰り返す「強迫観念」といえば

王殺害の罪悪感に慄き

血糊のついた手を洗うマクベス夫人のように

 

バイキンがついたら死んでしまう

 

とばかり一心不乱に手を洗うキレイ好き

という印象がアリます

実は

「小さな事」で根源的な「死の不安」が喚起されてしまう

「不安神経症」に分類されます。

 

子供は「衝動的」なモノです。

 

後先考えずに「間違い」を犯しても

「大丈夫」と思えるならば

「あんな事しなければよかった…」

と自責の念や強迫神経症の地獄に堕ちる事もありません。

 

 

怒られても「大丈夫」な

深い人間関係を築くこともできず

嫌われる事を恐れる

「幼稚」なオトナが蔓延するジャパンで

衝動を規制することのできない子供達は

常に「些細な事」で叱責され

「取り返しのつかないヒドイ事」をする恐怖に慄いている。

 

とダークな日本の漫画読んでると感じます。

 

「タコピーの原罪」では

「罪」を犯した無垢な子供達は

幾度「繰り返し」ても救われる事はありません。

「救い」は「お話」の中にありました。

 

という

心理療法的なお話でした。

 

タコピーの「原罪」というタイトルは

ぷよぷよ愛苦しい善意のタコピーが

「救い」のない「原罪」を負っている事を示唆します

 

 

旧約聖書のアダムとイブや

ギリシャ神話のエディパスのように

知ってはならないモノを「知ってしまう罪」ではなく

己の罪を忘却し

回避しようとする「罪」なのでは…

と感じます。

 

地獄への道は善意で舗装されている

座右の銘な私的には

タコピーの「原罪」は

「純粋無垢」に相手の暴力を許容する「優しさ」

相手の暴力を「見てみないふり」する「善意」*1

って事だよな

としみじみさせられるエグいお話でした。

 

どんよりしたいダークな皆様にオススメです。

 

しかし

女児のダークな破壊性に直面して男児が「無能」な「お話」が

「少年誌」で消費されるってのも…

「母」の暴力に徹底的に無力な「息子の病」が蔓延する

ジャパンだよな。

*1:その「善意」は

「失敗」ばかりのダメなのび太に際限なく魔法の道具を出してくれる

アル中カラカラの

 

neofreudian.hatenablog.com

 

イネイブラーな「善意」でもあります