精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

うんこな問

ツイッタジャパンの

医者のたまごの職業倫理の欠如に慄いた

前回の続き(?)です。

 

neofreudian.hatenablog.com

 

ツイッタジャパンの医者の倫理の破綻は

患者の気持ちを慮れず

共感の欠如を正当化する

自己愛性サイコパスな「個人の問題」ではなく

医療「教育の問題」でもある。

 

と感じたので

ツイッタで共有された「医師国家試験」の問題にモヤったトコロを書いてみます。

 

クソな医療教育でも

多くのお医者様は誠実です。

リアルな日本の医療者は真面目で丁寧でクオリティ高いです。

入院するなら米より断然日本です。

 

という事を踏まえた上で毒づきます。

 

25歳の女性。

異性関係や職場の人間関係のトラブルがあるたびにリストカットを繰り返すため母親に伴われて精神科を受診した。本人はイライラ感と不眠の治療のために来院したという。最近まで勤めていたという職場は、複数の男性同僚と性的関係を持っていたことが明らかとなり居づらくなって退職した。親しい友人や元上司に深夜に何度も電話をかけるなどの行為があり、それを注意されると、怒鳴り散らす、相手を罵倒するなどの過激な反応がみられた。相手があきれて疎遠になると、SNSで自殺をほのめかし、自ら救急車を呼ぶなどした。一方、機嫌が良いと好意を持っている相手にプレゼントしたり、親密なメールを何度も出したりするなど、感情の起伏が激しい。

 

この患者にみられることが予想される特徴はどれか。

 

a. 繰り返し嘘をつく

b. 第六感やジンクスにこだわる

c. 慢性的な空虚感を抱えている

d. 完全癖のため物事を終了できない

e. 自分が注目の的になっている事を求める

 

感情の浮き沈みが激しく波乱万丈な人間関係の

境界性パーソナリティ障害」の

「本質的な特徴」として

「慢性的な空虚感」が「正解」ってことだろうが

「予想される特徴」なら

全部アルアルやがな💢

となる受験者の苛立ちが

「国試に変態女子現る」という

医者を目指すモノにあるべからざる

軽言の背景にアルのかもしれない。

 

はっきり云って

クソ問だ。

と思った。

 

境界性を筆頭に「性格障害」とか「人格障害」と云われる

精神障害は「認知の歪み」が原因で

円満な人間関係を継続できないが故

社会生活に支障をきたす「パターン」の分類である。

 

精神分析の主祖フロイト

自主的に求めることがなければ

何も手に入らない

「求めよ。さらば与えられん」

ユダヤ系欧米人だ。

 

神経症」とは

「求める」ことに葛藤がありすぎて

幸福になれない人である。

みたいな事をいった。

 

蛇(性欲)にそそのかされて

禁じられた知恵の木の実*1を神の庭から盗んだ

アダムとイブの「原罪」が浸透する欧米で

求めることの葛藤

と云えば

性欲にまつわる葛藤だ。

 

故にフロイト教授が

葛藤の根源に

父のモノである女(母)と王国を手に入れた

せいこう(成功、及び性交)の罪悪感に慄き目をつぶすエディプスの悲劇が

精神疾患の根源的葛藤である

と云ったのも

当然と云えよう。

 

ところが

ギリシャ神話や聖書よりも

ブッダ八百万の神様と孔子なジャパンでは

 

「求めることはわがままで悪いこと」

「与えられたモノに文句を云わず感謝して喰え」

とばかり

 

「父のモノ」が欲しい5歳児の

「能動性」やてぃんへの興味関心よりも

乳幼児期に遡り

「母のモノ」に関する

「受動性」やおっぱいへの執着、及び貪欲が

葛藤の根源にある。*2

 

と常々感じる。

 

境界例の「慢性的な空虚感」が

(過干渉で支配的な母親への)

愛情飢餓に端を発すること

その飢餓感が故

(母のモノである無関心な父の)承認を求め

自分のモノになる可能性がないオトコ達の性愛を求め

性暴力被害のトラウマや不倫の沼にハマる

という「病因」に踏み込むこともなく

治療方針も問わない設問は

医者の卵の間に偏見を増長するだけなのでは…

と不安しか感じられない。

 

「キレイな境界例

という反応にも

ものすごい異和感があった。

 

ガチにドロドロの境界例患者さんには

病院につれてきてくれる「優しい」母親は居ない。

 

たとえ自分にとって「恥ずかしい」

キチガイ売女な娘をどうにかして欲しい

分離不全自己愛性「毒母」でも

ちゃんと娘を病院に(遅すぎとは云え)つれてくる

ということは子供の健康と幸せをどこかで祈る

Good enough な母なのだ。*3

 

だからこそ子供は愛着する。

 

 

その愛着が故母子共に混乱に苛まれる。

 

凄惨な暴力に苛まれる

ガチ境界例患者さん達に

病院につれてきてくる母は居ない。

 

前回の街録chに出てくるような人たちのことは

ご存知ないのだろうか。

 

自分が「見えてる」モノだけが

「キレイな症例」と思い込んでる

ジャパンのトンチンカンな精神医療者が

児童性的虐待を看過し

砂絵を処方しているのでは

精神医療への信頼感が全くなくなるのも当然やろ。

となる。

 

メンヘラ(境界例)が「エロい」(多淫)という

大衆の偏見を

精神医療業界が容認している

という状態にも危機感を覚える。

 

人格障害の根幹は

「内的体験の歪み」から対人関係に支障をきたすことであり

その「支障」には一定のパターンがある。

 

例えば

境界例と自己愛性が

お互いの

寂しさの暴力性と

相手をこき下ろすマウンティングの暴力性

に依存し

サイコーとサイテーが目まぐるしく交代する

不安定な関係を維持することはめずらしくない。

 

多淫が寂しさの暴力である

という意味では設問の描写は「正確」かもしれない。

 

出羽守根性で失礼するが

米で「多淫」が病と見做されるのは

本人が問題と見做し

「性依存症」として治療する場合や

双極性の「躁」状態で

「性格障害」の範疇ではない。

 

自傷行為や他者への暴力的行動が

「見捨てられる」恐怖に駆られるが故である

という「内的経験」の描写や

その「見捨てられる恐怖」が生育過程で

如何に歪んで増長したのか

更には

寂しさに駆られて暴力的になる傾向のある患者の治療には

どんな困難が予想され

どんな治療が有効か

という事も問われないジャパンの医師国家試験って

どうなの?

 

と呆れて毒しか吐けない。

*1:「木の実」だから貪欲とか食欲が原罪でもよさそうなもんだが...何故か性欲になるんだな

*2:「父」の黄金を求めて闘う子供たちのお話「ゴールデンカムイ」も根源的な葛藤は性欲ではなく「飢餓」でした。

 

neofreudian.hatenablog.com

 

*3:リスカ…するような25歳は10代からやってるよな…なんで今更…