精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

【ダルちゃん】トラウマ と デートレイプ

この記事でも書きましたが、

【資生堂のダルちゃん】 擬態 と 自己愛の欠如 - 精神分析のススメ

資生堂のダルちゃんに、ハマってます。

 

8話の展開で、

これは…!

境界例ドロドロ、デートレイプの展開か?

と息を呑んだのですが、

そうではなかったようで、ほっとしました。

 

9話のスギタさんの顔が、

このまま強姦しちゃうヤツ

にも見えますが、

自己愛性の男性が、

暴力的になれるのは

相手を傷つけることで

自分が「力強く」「愉しく」感じるからです。

 

溶けてしまったダルちゃんに、

彼は力を誇示するどころか、

無能感を抱いた(萎えてしまった)のでしょう。

 

とても納得できる展開です。

 

ダルちゃんは、

只単に

ラッキーだった

のでしょうか... 

 

お話としての「必然性」

という観点からも

トラウマの観点からも

私は

そうではない

と思います。

 

ダルちゃんの闇が、

自分が破壊される

暴力ではなく

親の無関心(=愛情不足

に依るものだけだったからこそ、

彼女はレイプされずに済んだのだと、

私は診ます。

 

彼女の生育歴に、

身体的暴力や、性的ないたずら等、

何らかのトラウマがあったなら、

きっと…

スギタさんの

サディスティックな欲望に

火がつく展開になっていたのでしょうが。

 

流石に、お化粧品の資生堂サイトで、

そこまでドロドロメンヘラな展開では

ちょっと困りますよね。

 

はるな檸檬さんが、

スゴいなと思うのは、

11話の屋上のダルちゃんの何気ない描写です。

 

溶けてしまいたい彼女が、

人の気配を感じて

「サッ」

と気を張る瞬間が、痛すぎる。

 

日本に住んでいた時、

小学生の頃から、

この、「普通」のフリして

気を張っていたことを思い出して、

泣きたくなりました。

 

サトウさんという「対象」を通して、

ダルちゃんが如何に

「本当の」自分に「無関心」な母親

(つまりは自分でもあるのですが...)

との繋がりを回復できるのかに、

期待してます。

 

良い母親にも重ねられるサトウさんについて、続きも書きました。

【資生堂のダルちゃん】好きなモノ - 精神分析のススメ