精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

【ダルちゃん】母親から離別するということ 

前回の記事

【資生堂のダルちゃん】 母親に否定されるということ - 精神分析のススメ

以来、しばらく、ダルちゃんネタ、お休みしていましたが…

 

実はタイトルを決めあぐねて…

「母親を破壊するということ」にしようか…

「母親が壊れるということ」にするべきか…

と、悩んでいるうちに、もう50話が更新されてしまいますね(もうされてるか…?)

 

はるなさんの人物、表情の描写がめちゃくちゃ上手いと、何回でも言いたい。

 

49話で、ヒロセさんは別れを決意したダルちゃんの顔を

「本当に素敵だと思う」

と言っています…

 

キツい様ですが…

流石は、男になり切れなかったママもどき君の台詞です。

 

ダルちゃんの必死にすがる顔に怯(ひる)み、

ウィニコット様の仰る様にがっつり「抱きしめる」包容力もない

ママもどき君は、

ダルちゃんがはしゃぐ姿*1を見るに耐えず

罪悪感を覚え、自己嫌悪します。

 

「優しい」と見せかけておいて

「弱い」だけのオトコの鉄板です。

 

「鬱」状態で別離の痛みを「感じる」ことを拒否するダルちゃんの顔を見て

「素敵」とは、ちゃんちゃら片腹イタイです。

 

傷つけ、傷つけられることをオソレて

喪失のイタミを回避しようとするが故

人は欲しいモノに手を伸ばすことすらできず

「幸福」の萌芽を自ら破壊し、悲嘆し、絶望し、憤る

神経症」を患う

と、言ったのはフロイト教授です(と、少なくとも私は思っております)

 

噛めば噛むほど味わい深いスルメの様に

何度読んでも新しい発見があるフロイト教授の「喪とメランコリー」

(私が感受性だけで読むからなのでしょうが…)

素晴らしい要約をこの方がされておられます

d.hatena.ne.jp

この論文でフロイト教授は

「メランコリー(鬱病)」とは、

失ってしまったモノから自分自身を

解き放つことができない

「明けることのない喪」であることを示唆しています。*2

 

フロイト教授は「対象」を無価値なモノとして放棄することに

自立と鬱病寛解を見出そうとしましたが…

 

「大切な」ヒロセさん(=愛する「対象」)を「守る」為に

彼を「放棄」したダルちゃんの「喪」が明け、

真の創造性を発揮できる日は来るのでしょうか…

 

明日が待ち遠しいトコロです。

 

なんて言ってたら、

ダルちゃん、さくっと終わってしまいましたね…

寂しい…

【資生堂のダルちゃん】ダルダルな自分を受け入れるということ - 精神分析のススメ

*1:彼女のはしゃぐ顔も、又、上手いコト描いてはって…

又、オリを見て書きますが…

楽しいフリして大切なモノ(=自分)をガンガン消費し、破壊する

「躁防衛(マニック・ディフェンス)」な空っぽな笑顔な感じが出ていて…

ガチで双極性イケイケ躁状態な患者さん達は鬼気迫る眼光してるので

それとは又ちょっと違う感じが良く描かれていると思います…

*2:フロイト教授曰く、

患者は自分でも何を失ったのか分かっとらんので

「喪」に服すこともできんわな

と仰っておられます