精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

【複雑性PTSD】の闇:メンヘラと児童性的虐待について

渡米して20余年

全く日本語コンテンツに触れる事のなかった私が

日本のネットコンテンツデヴューしたきっかけは

「メンヘラ」だった。

 

18歳で1999年に命を経った「南条あや

21歳で2014年に自殺教唆の物議を醸した「メンヘラ神」*1

 

彼女たちの自傷行為

コンテンツとしてネットで消費され

今で云う「複雑性PTSD」の症状が

「メンヘラ」という俗語で大雑把にくくられて

一般民間人に普及するジャパンに震撼した。

 

その一方で

精神医療への偏見は根強く

「性格障害の治療は不可能」

とドヤる医療者がウヨウヨしているジャパンに

危機感を覚えた。

 

かく云う私も

サイエンティストを目指して渡米した当初は

「精神病理」の履修に抵抗があった。

 

怖かったからだ。

 

その恐ろしさは始めて精神分析を受けた時にも感じた。

 

「分かり得ないモノ」として

「自分」という「狂気」に向き合う事は

オソロシイ事だ。

 

オソロシイモノを軽く扱い

「笑い」や「ネタ」として「消費」するのは

脆弱なニンゲンの「防衛本能」の為すトコロで

仕方ないのかもしれない。

 

ツイッタでこんな事があって

 

「メンヘラ」と

ジャパンの精神医療の不全について

書いてみよう。

 

と思った。

 

このツイートの直前

街録chの児童性的虐待サバイバーのインタビューを

ホス狂いあおい/出産しては施設へ送る…ホス狂いから闇金1000万背負わされ、返済のためファンに金銭要求… - YouTube

初体験は祖父の⚫︎出し…/中2で35歳と不倫/17歳で妊娠し… - YouTube

祖父に⚫︎女奪われ…/27歳で発覚 知的障害/知能レベル9歳で子育て - YouTube

立て続けに観て

ジャパンの精神医療と児童保護司法の不全に震撼したのも

コレを書こうと思った理由の一つだ。

 

街録chの3人共

「善悪の別」もつかないくらいの幼児期から

親しい老人による性的虐待被害に遭っている。

 

被害者が「気をつける」事を要求され

痴漢「くらい」は性暴力ではないと看過されてきたジャパンでは

若い頃から「触るくらい」の性加害を繰り返しても

みんなが「みてみないふり」をしてくれる。

 

自己規制が緩んだ老人が

他人の目がない

閉ざされた空間で

児童性的虐待の加害者になるのは

「当然だ」と思う。*2

 

25歳と年齢詐称して

中学生とコンドームなしで性行為していた

35歳の既婚男性は

刑事罰として罰金を課されたというが

子供も居るという。

 

街録chには実父から性的虐待をうけていた女性のインタビューもある。

性的虐待の告発/初体験は父親 見て見ぬ振りの母は教師と不倫/実家出るため好きでもない男と結婚するも24年間ほぼ奴隷/ - YouTube

 

児童性的虐待の加害者は実父が最も多いとも云う。

 

自分の子供や孫を性的虐待する可能性がある

児童性愛嗜好者を

隔離も治療も監視もせず野放しな

ジャパンの司法に戦慄した。

 

解離性(多重人格)の診断を受けて

中学生で精神病院に入院した

「ホス狂い」のあおいさんのお話にも

性的虐待の後遺症が明白にもかかわらず

虐待加害者を追求しない精神医療と司法の不全に震えた。

 

出羽の守で恐縮だが

米では医療や教育、福祉に従事するモノは

虐待の疑いがあると

児相及び警察に通報する事が「義務」付けられている。

 

虐待の通報なんてすると

煩雑な事務仕事が増えるが

見過ごしたら「ミス」として責任を問われる。

 

性暴力の被害者は生涯その傷に苛まれる。

回復に費やされるコストは莫大だ。

 

児童性的虐待の加害者は釈放された後も

GPS着用が義務付けられ

子供が集まる学校や公園の近くに住む事も禁止され

子供に近づいたと通報されたら即刻逮捕だ。

 

顔や名前が警察署や自治体で公開されている。

 

米社会で

性犯罪者に監視の目が厳しいのは

更生が難しく

再犯する危険性が高いからだ。

 

日本では冤罪が問題視されるが

性暴力は罰則がないと

「見られていない」

「悪い事ではない」

と必ずエスカレートする。

 

冤罪が心配ならば

重犯者を厳罰に処すればよい。

 

医者が

暴力が精神疾患に及ぼす影響を「みてみないふり」

することも大きな問題だ

と感じる。

 

19世紀末

精神分析が一躍有名になったのは

場面緘黙心神喪失

「ヒステリア」と見做されていた女性達が

性的虐待の被害者である

という事を「発見」したからだ。

 

現代の貨幣価値に換算すると

1回4万円の分析料を

週5回払って通えるほど

裕福なご家庭で性的虐待が蔓延していた

なんてありえない。

 

精神分析は猛烈なバッシングされる

と同時に

熱狂的な支持を得る。

 

フロイトは後に

「ヒステリア」は現実に起こった「性的虐待のせい」ではなく

患者の性的幻想とそれにまつわる「葛藤」に起因する

と論調を変えてしまう。*3

 

 

性的虐待のトラウマが

精神疾患と密接に関っている

という業界内の「同意」は根強く残る。

 

フロイトの愛弟子

フェレンツィの「言語の混乱」は

児童性的虐待とそれにまつわる自他の欲動の「混乱」が

「狂気」の原因である事を説いた

秀逸な論文だ*4

 

フェレンツィ

慢性的なトラウマを

1.過剰な刺激

2.欠乏(飢餓)

3.共感の欠如*5

のいずれかが恒常的に続く状態である。

 

とした上で

 

慢性的なトラウマが狂気を生む。

 

と述べた。

 

街録chの3人は

みんな母親からの愛情が薄く

欠乏状態が続いているが故

「優しく」してくれる老人に依存せざるを得ない。

 

フェレンツィの云う「言語の混乱」とは

オトナの性愛と

子供の愛着欲求の

「混乱」である。

 

親への愛着欲求を満たせない子供達は

性欲を充たすために

子供を「おもちゃ」にする

「優しい」老人に

強く「嫌だ」と云えない。

 

リストカット等の

流血を伴う自傷行為

祖父の「いたずら」で

過剰な性的刺激に晒された

匿名の女性が

風呂の撹拌棒で

自分の処女膜を破る自傷行為と「同じ」だ。

 

医者を志す人達が

自傷衝動と愛情飢餓に翻弄され

安定した人間関係を構築できない

精神疾患に苛まれる人を

「変態女子」と

揶揄することは

職業倫理の欠如のみならず

無知をさらけ出している

としか思えない。

 

まがりなりにも医者になろうとする人達が

性格障害の病因を理解できないならば

それは

医療教育の深刻な問題を露呈している

という事だ。

 

イキオイで

クソな医師国家試験への憤りを綴りました。

真面目で誠実なお医者様も沢山おられる事は重々承知です。

 

neofreudian.hatenablog.com

 

 

じゃあどうやって(複雑な)トラウマ克服するの?

 

ってなった方にはこんなんも書いてます。

 

neofreudian.hatenablog.com

 

*1:2003年に25歳で投身自殺した「二階堂奥歯」も加えようかとも思った

彼女の書いたモノには児童性的虐待の示唆がないのでやめておく

*2:ジャニー喜多川の児童性的虐待も司法機関を含み周囲がこぞって「みてみないふり」したからこそ「悪化」したのだろう

*3:フェミニストフロイトがバッシングに怖気づいて性的虐待説を翻した。と批判するが私的にはフロイトの子供が性的虐待を示唆する「幻想」を提示したのでは。と思ってる

*4:著者のフェレンツィは乳母からの性的虐待被害者だ

*5:感覚過敏で癇癪起こしがちな発達障害児童も慢性的トラウマに苛まれていると云ってよいだろう