精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

注意欠陥・多動性障害 (その3)

前回の続きです

neofreudian.hatenablog.com

 

質問紙の親の回答結果は

注意障害と不安が高く

本人は

親の回答に輪をかけて注意障害と不安が高いのに加えて

自己肯定感が低く「うつ」が顕著だった。

 

親は

算数が嫌いで地図や時計にも興味を全く示さない彼女に

言語学習障害の傾向があるのでは…

と疑っていた。

知能は

言語、非言語論理的思考や抽象思考まんべんなく

平均以上だった。

 

読解力が秀でている反面

うつと不安が強くイヤな出来事を引きずってしまう

情動管理*1が未発達

注意力が散漫で、衝動的

タスクに取り組む際の「作業記憶」が脆弱

という検査結果だった。

 

注意障害は白黒はっきりした障害ではない。

 

最も重篤な子どもでも

興味がアル事には集中できる。

時間は凄くかかるかもしれないが

タスク完了することも可能だ。

 

だから

米ではADDの診断が出ると

個室で制限時間のないテストが受けられる。

 

発達障害精神疾患スティグマ

米には「ない」とは云えないが

教師にも生徒にも

そういう「特別扱い」がズルい

という感傷が薄いように思う。

 

どころか

障害や精神疾患克服するべく頑張ってスゴイ

というポジティブな印象が

「表面的」には蔓延している

気がする。

 

家族は知能テストの結果126でトップ4%に属する

日本で云うトコロの「ギフテッド」にも関らず

学校の成績は中の下

 

自分はトロい

みんなについていけない

 

という劣等感が強い。

 

学校でやらされることに興味が湧かない

ので

先生の云う事も右から左に流す

「スキル」が身についてしまっているからだろう。

 

「普通」は

あてられても答えられない「恥ずかしさ」を回避するために

集中するのだろうが

...

彼女は羞恥に耐えられない。

 

恥ずかしいと思う気持ちから回復できず

不安だけが昂じて

更に集中できないという悪循環にハマるのだろう。

 

検査士からは

自己肯定感の向上のためにも

尊敬できる同一化の対象として家庭教師をつけたり

イヤな事があった時の感情の切り替えを支援したり

何か一つでも得意なことに集中して自己評価を高める事を推奨された。

 

ADD特化のライフハック教室

みたいなんはカネがかかるだけで効果は薄い

結局は当人の「やる気」次第だ。

 

投薬で劇的に効果が出る人は

ADD人口の2割程なので

試してみるのは良いが

なんとなく…イイ感じ…?

くらいなら

副作用を鑑みるに自分的にはオススメしない

 

とも云われた。

 

とにかく

彼女が「デキる事」に没頭して「自己肯定感」アゲられるよう

支援していきましょう!

 

とオススメされた。

 

自己肯定感アゲるためには

弱点克服して自分を変えていかなければ!

「不出来な自分」を謝り倒さなければならない圧の強いジャパンも

目指すトコロは「同じ」なのに…

 

neofreudian.hatenablog.com

 

今回の悲痛な事件に思った。

*1:イヤな事があっても切り替えて速やかに立ち直る事ができる Emotion regulation 私的には「自慰力」と訳したい