精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

【毎日かあさん】自分も毒親になるかもしれない…と慄く人達へ

シリーズ3作目です。

 

neofreudian.hatenablog.com

 

 

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西原理恵子毒親嫌疑炎上が

周り周って吉本ばななのトコロにまで飛び火している。

 

 

らしい。

 

陰謀論も渦巻いていたが

結局は

カネと権力と名声のおこぼれを頂く

「恩」に忠実な犬共の

妙な「善意」が

どんどん物事を歪めている

というのが事の真相だった。

 

らしい。

 

しらんけど。

 

誰も自分が「悪人」にはなりたくない。

 

罪悪感に駆られる人達こそ

殊更に「頑張ったね」

「よくやったね」

「素晴らしい」

と褒めてくれる人の言葉だけを聞いていたい。

 

誰も

自分が「毒親」だった

とは思いたくない。

 

毎日かあさん」には

「欲しいモノ」を「与えられなかった娘」が

長じて

「与えられない母」になる「悲劇」が

如実に描かれている。

 

と私は感じる。

 

マフィンを焼いて

浴衣を着せられる「素敵な母」に憧れても

塩辛の瓶詰めしか作ってあげられない母の

絶望と怨嗟と罪悪感を

オモシロオカシク描くことができる

西原理恵子の才能は壮絶だ。

 

と思う。

 

「与えたい」のに

与えてしまうと

羨望と後悔に駆られて

暴力的衝動を抑え込めないのが

「与えられない」モノの

狂気(負の連鎖)だ。

 

子供が「欲しいモノ」と

親が「与えたいモノ」が一致していたら

「感謝」と「修復」の働きで

「与えられる子供」への「羨望」や加虐衝動も

比較的簡単に克服できる。

 

 

子供の「欲しいモノ」が

親の「与えたいモノ」と食い違うと

「せっかく与えたのに感謝がない💢」

と増悪と怨嗟だけが募る。

 

立ち読み部分だけでもトラウマてんこ盛りな

毎日かあさん」だが

私がツラくなったのは

「白いスカート」の話だ。

BinB Speed Reader

 

「汚い兄」の吐瀉物を必死にキレイにしようとした

娘の愛を踏みにじった母は

後悔に駆られて

娘が「欲しい」白いスカートを買ってやる。

 

せっかくの白いスカートも

兄の「汚さ」でダメにしてしまう娘。

 

汚物も厭わない「愛」がゆえ

ゲロやドロまみれになる「娘」は

アル中の旦那を愛して

自分もゲロにまみれる「母」と重なる。

 

「せっかく」買った白いスカートが「汚れる」エピソードは*1

西原理恵子

「せっかく与えた愛がクソになる」

傷を描いている。

 

と感じた。

 

羨望と怨嗟で

与えるモノを「毒」にしてしまうのは

「母」に限らない。

 

「誰のおかげでメシが喰えると思っている」

とちゃぶ台ひっくり返す

昭和の「強い父」の

「暴力の肯定」という「狂気」も

毒親」のモノだ。

 

「暴力」や「逸脱」の罪悪感と羞恥を

「なかったこと」にするための「善意」は

悲劇的な結末にしか至らない。

 

田中圭一が見た

【田中圭一のペンと箸-漫画家の好物-】第五話:西原理恵子と鶏の唐揚げ - ぐるなび みんなのごはん

「幸せな家族」が「再帰」するよう

 

「汚れ」をキレイにする慈愛が

「逸脱」を「なかったこと」にして

クソにクソを上塗りする地獄への道を舗装する「善意」に屈する事なく

「傷の修復」を可能にすることを切に祈る。

 

*1:「ドロだらけの白いスカート」には性的トラウマも感じるけど…「夢」じゃないのでそーゆー「解釈」は回避します