精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

労働のヨロコビ と 成功の罪悪感

私が勝手に思い入れてるブロガーさん

いっしーさんへ - 精神分析のススメ

が久し振りにアツイ記事を上げられており

www.issizzz.com

イロイロと触発されてしまったので

イキオイに任せて書いてみようと思います

 

本来なら労働のヨロコビについて

(せっかくももはなさんからも頂いたリクエストを放置しているので)

however-down.hatenablog.com

書くべきなのでしょうが…

 

イマイチ言葉が出てこないので

いっしーさんが

「こいつだけはマジで分からん。最初から最後まで見ても、後日談を調べても意味分からん。」

 

と言われる彼について、書いてみます

 

因みに後日談は、この方のまとめを参考にしました

komatsudayohei.jp

 

いっしーさんの様に、マジメにコツコツ地道に頑張る人には

決して理解できないと思います

 

何でこんなエエかげんなヤツが

実現できそうもない荒唐無稽な計画を立てて

「絶対ヤリます!」

という無理口を叩いてアカの他人を丸め込んで

2000万円近くのカネを

正に「投げ」て貰っておいて…

 

やる気が失せてしまった

 

と、期待を裏切るようなマネができるのか…

 

話は逸れますが…

 

この「マネーの寅」って番組、面白い…

ハマりそう…

 

私はリアリティ番組あまり好みでないのですが…

 

カネ出したるで!

って感じにキップの良い(?)おやっさん(及びおっかさん)が

若き(?)才能に出資するなんて

トランプのアパレンティス(徒弟?)なんかより

ずっと崇高なテーマで好もしい

 

「投資」って、そーゆーコトだと思います

 

カネでカネを儲けるのが「投資」だなんて思ってはイケナイ

 

惚れ込んだ(=成長が見込める)相手にカネを投げ与える

 

それだけの度量と覚悟がなければやってはイケないことだと思います

 

だからこそ、堀之内氏の

「君、僕のこと好き?」

という

ビジネスマンが…訊くんかーい!?

な質問がある意味「投資」の真髄を突いている気がします*1

 

閑話休題

 

で、かいえい氏に話を戻します

(全くの自由連想で申し訳ないのですが…

彼の名字…

Jay-Z に並ぶ天下のお子様ぱっぱららっぱーの

かーにえ? に聞こえるの私だけですか?)


Kanye West - Stronger

 

編集でカットされているのか…

彼のお話は、あまりにも波乱万丈スギで

確かに理解不可能です

 

後輩の死の衝撃から逃れるために

高校もろくろくにブラジルに渡り

サッカー選手になるも

後輩を死なせた罪悪感に苛まれ

足の怪我を機に帰国

人生の目的を見失うも

結婚して子供もつくり

(車整備?の)ビジネスを始めるが…

武道館デビューしたいからって

何で会社潰してまでしてマネーの寅に出演する?

 

もう、このお話だけでも

辻褄合ってないし

わけわからんヤツ

ってなりますわ

 

な の に

2人の寅達にカネを出させる…

 

どーゆーことよ?

 

ってなりますわ

 

以下、全くの私の妄想です

誤使用の注意をお読み下さい

免責事項 自己紹介に換えて - 精神分析のススメ

 

かいえい氏の様に、

なんでもさらっとこなす

マルチに天才な方、たまにいます

 

勉強してないのに

成績が良いヤツ

 

練習しないのに

スポーツ得意なヤツ

 

ギター持ったの初めてなのに

「何となく」弾けちゃうヤツ

 

居ませんか?

 

「努力」しないでもそこそこ何でもこなせる

器用な人は

案外周りに居るはずです

 

でも…その人達が本当に名を上げることは

なかなかありません

 

「達成感」を味わう程の「努力」を費やす前に

ま、これくらいで、いっかー

と「満足」してしまうからでしょう

 

頑張って挫折するくらいなら

努力なんてしたくない

と、いうのもアリかもしれません

 

が、それらは私共、分析家としては

所詮「意識」に上がってくる「表層」の理由であり…

 

努力して本当に成功してしまうのがコワイ

エディプスコンプレックスに端を発する神経症である

 

という診立てから

被分析家の内面世界に入ってイキます

 

かいえい氏の「後輩の死への罪悪感」は

 

自分の成功(=子供の自立)の裏には

他者の敗北(=親の死)が潜んでいる

 

つまりは、エディプス神話に集約される

 

父王の死=自分が王座につくこと

=父に対する勝利=大人の男になること

 

という「自立」にまつわる両義性でもありましょう

 

5歳くらいから、男児

ロマン(=決して手に入ることのない母)を求め

(父に)「勝つ」ことにこだわり始めます

 

その時期に「理想の父」を喪失すると*2

人生において「勝つ」ことに

克服し難い葛藤が生まれてしまいます

 

かいえい氏はマネー成立の為に

「仲間になって下さい。失敗はしません」

と寅達に訴えます

 

彼の「不安」は自分が敗ける(失敗する)ことではありません

 

勝って(成功して)「大切な仲間」を失うことなのです

 

故に…

「勝つ」ことが不可能な…

デキもしないような荒唐無稽な計画を

立てるのです

 

しかし、何でも器用にこなす彼は

その無謀さ故に

「もしかしたら…」

と寅達の「男のロマン」をくすぐります

 

かいえい氏は

カネを手にした時点で

「新しい仲間」を「勝ち」得てしまいました

 

それは「負けて」犬死した後輩に対する

「裏切り」でもあります

 

痛烈な罪悪感から、鬱状態に陥り

何もできなくなるのも当然です

 

かくして、彼は

「仲間を裏切る」トラウマを反復し…

「新しい仲間」を失い…

自虐のスパイラルにハマります

 

才能あふれる彼が「成功」を不可能にする

神経症の軛から逃れるには…

 

後輩の死への罪悪感から自分を解き放ち

強い「責任感」をもって仲間を育てられる大人になる為には…

 

もう皆様お分かりですね

 

精神分析で根源的幻想を探求し

喪われた「仲間」から自分を解き放ち

新しい可能性を見出すコースが

イチオシで御座います

*1:最初は

なんや、このイヤらしいおっさん?

と思って観ていたのですが…

これまた欧米人だったら絶対出資しなさそうな

マジメだけど口下手、ダサダサな

家具職人さんに一目惚れして

「口も出すが、カネも出す!」

って申し出を結局振られていて

うーん、可哀想に…ってなりました

*2:例えば…

「父」が再起不能な程ヤラれてしまう=「対象」の喪失=

理想への幻滅

真逆に「父」にこてんぱんにやっつけられてしまう=「自我」の喪失=

自己不全感

の悲劇を反復する…トラウマとなってしまいます