先日は、早期英語教育と、発音について書きました
が、今日は、構文(?)について書いてみます。
この方の記事に触発されました。
はぁ。Asが最強ミームねー。確かに、日本語に翻訳すると、色々な意味になって厄介、と言うのには、
「ふーむ、成る程―。」
なのですが、個人的に、そんなに苦労した覚えが全くないんですよね。「一緒」ってことで、スルーできてたんだと思います。
だから、Alsoが語源って、ちょっと以外でした。私の頭の中では、As は、Together に限りなく近かったので。
そんなこんなで、今日は、私にとって、一番やっかいだった単語、Make と Have について、書いてみます。
これらの、Let系、使役動詞を使いこなせるようになれば、あなたも、ネイティブ(っぽい)英語を話せる!と、言いたくなる気持ちも分かる(何かの見出しにあった記憶があります…)くらい、それはもう、「やんごとなきポテンシャル」がぎっしり詰まっている。と、私的に感じております。
まずは、この3文を、御覧下さい。
He lets me play the piano.
He makes me play the piano.
He has me play the piano.
という、
主語+使役動詞+目的語+原型動詞 という、ややこしい形で使われる、アレです。
どれも、
「彼は私にピアノを弾かせる。」
という日本語訳になりますが、この方の御説明の様に、
let、make、have、get~使役動詞を使いこなす | 真剣に学びたい人のための英会話学習サイト
意図(私が、ピアノを弾きたいかどうか)や、義務(誰かがピアノを弾かなければならないかどうか)、によるニュアンスの違いがあります。
でも…「誰かに何かをさせる」って、日本語で普通に言いますか?違和感ありません?
Letならば、「彼は私にピアノを弾かせてくれる」と訳したいところです。
Makeならば、「彼に言われて(命令されるからしぶしぶ)私はピアノを弾く」とか。
Haveならば、「彼に言われて、私がピアノを(そのパーツを誰かが弾かなければならないので)弾くことになる」とかいう感じでしょうか。
日本語に訳し難い、というのも悩ましい原因の一つではありますが、私が一番戸惑ったのは、よく見かけるわりに、自分で使役動詞を使うという発想がかなり長いこと沸かなかったことです。
使役動詞は頻繁に使われるので、意味は理解できるのですが、自分で使いこなすことができなかった、と、言った方が良いかもしれません。
Let くらいなら、相手が許可、同意してくれることを前提にしているので、命令形で、(お願いする時に)気軽に使えるのです。
Let me do it. (やらせてー!)
とか、
Let me know. (知らせてね)
は、私もかなり頻繁に使う表現です。
ところが、Make や Have には、誰かが誰かをコントロールしているニュアンスがあります。
この、強制的なニュアンスを使いこなすのが、難しい、と感じます。
アメリカに住み始めて、思ったのですが、英語で話す、ということは、自分の意思、要望を明確に伝えて、相手に納得してもらってなんぼ、という側面があります。
最初は、これがなかなかできなくて、大変でした。
I would like…
とか、
Will you…?
で、分かり易く何が欲しいか伝えるくらいは、まあまあ、できたのですが、
「これ、欲しい?」
と言われて、
「はい。有難う御座います!(Yes. Thank you!)」
と、答えて、「『結構です(No, thank you.)』ってこと?」と混乱されていました。
正しい答え方は、「はい、下さい。(Yes, please.)」ですね。
単に、「有難う」と申し出を受け入れるだけ(受身)では駄目なのです。それでは、
「お気持ちは有り難いけど、結構です」
という慣用句に限りなく近くなってしまうので。(Yes, thank you. でもちゃんと分かるよって言ってくれる人もたまにはいますが、私の知り合いだけかも...)
「お願いします。」と(能動的に)頼まなければ。
日本語(日本人)は、とかく受身だ、と言われますが、主体と客体を曖昧に伝える言語でもある、と言われております。
「甘えの構造」に関する論文(多分)で、土居健朗氏が書いておられました。
I love you.
を、日本語にすると、
「愛してる。」とか、「好き。」とか、「大好き。」
しかありえない。
と。
これは、どーゆーことかと言いますと、
I love you.
なんて言いたい気分になる時点で、既に二人はラブラブなんだから、
「私は、あなたを、愛してます。」
みたいに、人称代名詞なんかいちいち言ってらんねーよ!
「好き。」
だけで、誰が誰を好きか分かるだろー。
いちいち私とか、あなたとか言う必要があったら、信頼関係が出来上がっていない証拠だよ。
という考察をなされておられました。更には、
自我の確立を重んじ、自分の意思を明確に伝えるプレッシャーがかかる英語では、
「私が、あなたを、愛してます!」
と、きっちり自分と相手を分けて愛情表現をしなければなりませんが、
日本語では、
「私達、ラブラブよねー」
とばかりに、誰が誰を好きなのか、さっぱり分からない自他の区別を曖昧にする言語化(忖度ってヤツですね)で、信頼関係を確認します。
という日本語論を繰り広げられておりました(土居先生、こんなゆるい紹介の仕方に、お墓の中でお怒りにならないで下さい)。
話題がどんどんずれましたね。やや強引に、使役動詞に戻ります。
Make や、Haveを使うと、
Aが、BにCさせる。
という文になり、曖昧な日本人の私にとっては、
「BがCする」
の、「Bが」の部分をはっきりさせるさせるだけで、すでに負荷が掛かっている(BがDをCする。とか、Dまで考慮せなあかんこともあるし)上に、更に
「『Aのせいで』というファクターを明確にせないかん!」
というプレッシャーが重なり、ウザッとなってしまうわけです。
「Bも、本当はそこまでCなんてしたくないんだろうけどさ…」
という、日本人同士であれば、なんとなく、で分かってもらえる心情を、
「AがBを強制している」
というニュアンスを加えることで表す、迫害妄想的構文だと(かなり個人的に)思っています。
この構文を、無生物主語でも、自由自在に使いこなせるようになれば、あなたもネイティブ(に近い)英語を話せる!
と言いたいくらい、使役動詞には、自他のコントロールを重視するあまり、迫害妄想に充ち満ちた欧米文化ミームが詰まっているのではないかと、日々、感じております。
テイラー・スイフトの昔の曲を、以前、こちらで紹介しました (期間限定で公開しています)
軽薄な精神分析 2. Shake it off 不完全な自分のままで いいじゃん。 - 精神分析のススメ
が、彼女の新曲、
Look what you made me do も、直訳すると
「あなた達が私にさせたことを、見ろ」
になります。が、雰囲気的には、
「私かて、好き好んでこんなことしてないんで!!みんなあんたらのせいやがな!」
って感じで、責任のなすり合いはしょっちゅうしてるアメリカ人にしても...まあ…メンがヘラっている(境界例状態な)歌詞とPV映像ですね。
私的には、(使役動詞とは全く関係ありませんが) サビが似てる?という噂の、90年代の笑える迷曲、I'm too sexy(ぼくちゃんってば、なやましすぎ)
の方が好みです。
私の思いっきり自由に連想が飛びまくってる文章に、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。