精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

【ダルちゃん】ヒロセさんが Mな件

久しぶりに、ダルちゃんに心揺さぶられてしまったので、書いてみます。

 

ダルちゃんの、ヒロセさんとの展開に非常にモヤります。

先日、こんな記事を書きました。

鬼嫁に魅せられる男達 - 精神分析のススメ

今は昔、女は嫉妬と恨みにかられて般若と化しましたが…

現代女性が鬼嫁と化すのは、

優しくも愚昧な、「No」と言えない(=父性が欠如する)オトコ達

への不満に駆られてのことではないでしょうか。

 

私にとって、第23話

「ダルちゃん」第23話 | ダルちゃん | 花椿 HANATSUBAKI | 資生堂

は、ダルちゃんに、現代女性の般若化の萌芽を見出すエピソードです。

 

脆弱で傲慢な自己愛オトコ、スギタさんと一変して、ヒロセさんは、父性(男を男たらしめるモノと言っても良いです)を剥奪された「優しい」オトコです。

 

父性に欠ける「優しい」オトコ達には、女性の欲望を満たすことも、攻撃衝動を収束することもできません。

 

オンナを鬼嫁にするオトコ達 でもあります。

 

以下、ダルちゃん(オンナ)の主張が如何に「理不尽」か、解説してみます。

 

ダ:「みんなに大丈夫だって言ってたけど、全然大丈夫じゃないですよね」

匕:「…はぁ…すみません」

 

ここで、

「オレは男や!強がってナンボやねん!」

と胸を張れず、謝ってしまうヒロセさんは、哀しくも、卑屈です。

 

自分がダルちゃんに、手伝わせた罪悪感故に謝る

というのは、共感力高いワケではなく、単なる自己否定感の現れです。

ダルちゃんは、自分で「手伝う」と決めて行動したのですから。

 

ヒロセさんが謝るのは(女性の)気持ち的には「正解」でも(男性の)理屈から言うと「理不尽」です。

 

ダ:「説明…すごく分かりにくいです」

匕:「ハァ…すみませんでした」

ネ:「謝るだけかいな…全くもぅ…」

 

理屈で返す(男)なら、「どこが分かりませんでしたか?」と、フォローしなければ。

 

ダ:「誰にでも分かる書き方じゃ全くなくて…不親切だと思いました」

匕:「ハイ…そうでしたか…すみません」

ネ:「それは、『不親切』ではなく『伝達力の欠如』です」

 

ダ:「んで、分かりにくいから質問しようかと思えばすごく余裕がなさそうで…遠慮しちゃってました」

匕:「ハイ…そうだったんですね」

 

分からなければ質問する。

「質問しようかと」思うのであれば

「余裕がある時に伺いますので、教えてください」

とコミュニケートできるのが、お互いが自立した関係です。

 

こんだけ理不尽にダルちゃん(女性)に責められて、

「ハイ、私が悪う御座いました」

なオトコは、はっきり言って

「ママに怒られるのがコワくてとりあえずハイハイやり過ごすけど、何一つとして、聞ーちゃーいねー」子供と一緒です。

 

だって、理不尽な母親に、自分ではどうしようもないコトで、責められてるのと一緒ですから。

 

余裕がない時に、余裕なんて

「ハイ、そうですね。」

と、つくれるものでは御座いません。

 

ダ:「そういう空気感はあまり前面に出さないでおいて…」

匕:「フッ」

 

ここで、ヒロセさんが笑うのは、スゴく分かります。

 

あまりにも理不尽ですから。

笑うしかありません。

 

けれど、彼はこう続けます。

 

匕:「同情されやすい人生だったもんで、…ちょっとみじめな気分だったんですけど、怒ってるし…良かったです」

 

このセリフは、微妙です。

 

「同情されたくない」には、

「弱い自分でいたくない」

という気概を感じます。

 

しかし

「怒ってるし…良かった」

では、オンナをSな鬼嫁にしてしまう完全なM男君。

弱い自分に逆戻り…というか、自分で自分を貶める、自虐なM君です。

 

ダルちゃんにしてみれば、初めて自分の声で、

怒りを表現できた場面ですが…

そこで感じた自分の「強さ」を

如何に「優しさ」に昇華できるか。

という所にダルちゃんが

般若化回避できる可能性が

秘められていると思います。

 

自己否定感の強いヒロセさんとダルちゃんが、

お互い「本当の自分」

【資生堂のダルちゃん】 擬態 と 自己愛の欠如 - 精神分析のススメ

を見つけられるには、

父親的存在も必要だと思うのですが…

 

第40話ではヒロセさんのダメオトコっぷりが

明らかにされてしまいましたね…

【ダルちゃん】 自己表現の厳しさ - 精神分析のススメ

  

「良いお母さん」との同一化

【資生堂のダルちゃん】好きなモノ 追記 - 精神分析のススメ

だけでダルちゃん(=擬態する日本人女性)

の物語は終わってしまうのでしょうか。

 

ヒロセさんに愛される幸せを

素直に表現できるダルちゃんは、

男性に「理想」を見出し

「本当の自分」を

見つけられるのでしょうか。

【ダルちゃん】 愛し 愛される幸せの 奇跡 - 精神分析のススメ