しばらく前になってしまいましたが…
この記事の著者に、めっちょこカシコイーと、シビレてしまいました
ブコメでも書きましたが、
今まで読んだ中で一番、「アメリカで今、起こっていること」が
うーん、納得!
できる描写だと思います。
ナイキの宣伝はターゲット層が熟考されているため
頭の固い白人層は怒って離脱してしまったものの、
スポーツ用品を買う大多数のマイノリティ+小金持ちリベラルな若者には
受け入れられる
上手な炎上だったが
牛乳石鹸とブレンディの宣伝は
獲得ターゲット層(=男性は石鹸もミルクコーヒーも買わない?)
を誤ったが為
下手な炎上と相成り、売上が落ちた。
という主旨で
…
うーむ!流石はマーケティングのプロ!
と唸らせる明晰な分析も素晴らしい。
とはいえ、ナイキの炎上と日本の炎上では、
ターゲット層を超えた根本的な「倫理」の取扱が
成功と失敗の分け目になったのでは…
と感じるので、書いてみます
ナイキの宣伝については、上記の記事に書かれているように
黒人差別問題に抵抗する選手を讃えるという
政治的に明確で「正義感」に訴える崇高なメッセージがあります
牛乳石鹸も、ブレンディも
世の中の矛盾や「建前」に肉薄する内容ではありながら
そこを切り崩したからといって
「すっきり」キレイに「正義」を感じられないトコロが
強烈なインパクトは与えられたものの
広告としては失敗した所以ではないか
と私には感じられます
私もしばらく前に3記事(!)にも渡って書きましたが
(そこまで思い入れていたとは…自分でもびっくりです)
牛乳石鹸で、「さ、洗い流そ。」では済まされない時。 - 精神分析のススメ
牛乳石鹸を嫌悪する人々は MBTI の F (感情型)なだけ? - 精神分析のススメ
この方が秀悦な分析でまとめられておられるように、
牛乳石鹸の炎上案件は
お父さんも思うトコロあって、
父親として頑張ることに心を注げない
という…
乗り越えがたい葛藤を抱えているんだ…
という
…
このポスターもそうですが、
このポスターがサイコパスだとしたら
— neofreudian@はてなブログ (@neokleinian) 2018年10月4日
欧米人の目からは日本人皆がサイコパス https://t.co/MlRfaynHRb
日常のストレスから
特に(意識的に)相手を憎悪する理由もなく
理不尽に他者を傷つけてしまう罪悪感を
キレイさっぱり洗い流しましょう
という
…
まあ
…
そんな、石鹸なんかで
…
ストレス洗い流すのは良いんですが
…
罪悪感まで、簡単に流しちゃって良いの?
と、何でも水に流しちゃう日本人としては、
男女を問わず
虐める側、虐められる側を問わず
意識に浮上させたくもない罪悪感を喚起されてしまうが故
微妙に「不愉快」なテーマです
…
マクベス夫人が血みどろの手を洗い流そうとしているトコロに
キティちゃん…はオランダ人なので…ポプ子等
日本人御用達のカワイイ(?)キャラが
「はい、牛乳石鹸なら、キレイになるよ!」
と石鹸を差し出すくらいなら、
皆そこまで居心地悪くはならなかったのではないでしょうか
ブレンディの宣伝は
…
私も観てギョっとしました…
日本の広告業界、トンガッてるなー
…
又々、この方の
日本の若者=畜牛*1
というメタファーを使って
自社イメージを「売った」点が炎上した所以
という分析に感激したので、貼っておきます
卒牛式で…就職先ならぬ、就牛先が…
如何にもヤンキーな若牛は闘牛場に…
真面目そうな男牛も食肉産業に…
生き残れる牛は「エンターテイナー」でしかない…
究極的には
モノを生み、創り出すこと=(資本家に)搾取されること
にしかならない「資本主義」経済の歪みを
如実に描いていると感じます…
ブレンディのえげつない宣伝は
ユーチューバーになりたい
昨今の子供達の
ディストピアな世界観を
表現しているのではないでしょうか…
子供時代を卒業することで
男は食いつぶされ、女は性的に搾取される
という日本社会の歪みを風刺するモノだとしても…
凄惨なイメージがあまりにも生々しく想起されて…
…
最後の校長先生の好々爺オーラと相まって
…
もー、えげつない…としか言いようがない…
牛乳石鹸も、ブレンディも…制作者の
ブランドのイメージを刷新し
商品を「売り込む」という表向きの意図は
失敗したけれど…
日本の近代化に伴う欺瞞*2や歪*3を如実に…鋭く浮き彫りにした
「芸術作品」としては
ナイキの「わかりやすい正義」のプロパガンダに匹敵する
完成度の高いモノだと
私には感じられます