精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

【グレタ・トゥーンベリ】のスピーチが何故刺さるのか

 

「未来のための金曜日」という学校ストをする

16歳の環境問題活動家のグレタさん

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/23037.html

が国連でしたスピーチが物議を醸しています

 

この方が全文訳をしておられます

https://note.mu/tkatsumi06j/n/n608a7b4894cd

 

歳を取って涙もろくなったのか

レゴムービーでも泣ける私は

彼女の熱弁(Impassioned speech)

に涙が出てしまいました

 

彼女のスピーチが心を揺さぶるのは

何故か

考察してみます

 

彼女のオトナたちへの怒りは

子供達が親に感じる

普遍的なモノである

 

と私は考えます

 

子供は親を見てます

 

彼女のスピーチは

「We'll be watching you」

で始まります

 

彼女は

子供で居られる時間を奪われた

と主張します

 

欲に駆られて

環境破壊に拍車をかけるオトナ達が

「次世代に希望を託す」

なんて自分の無責任を棚に上げた

御託を抜かすからです

 

アダルトチルドレンでも

ありましたよね

 

家族が機能してないと

子供が責任感を持つようになる

ってヤツが

 

崩れ落ちる家で

おちおち「子供」でなんて

居られません

 

彼女は

何故「ぼくの地球を守って」くれないの?

と子供を守るはずのオトナ達に訴えかけます

 

「こどものために」

頑張って働いて

学校に行かせる親は

子供が良い点数を取って

良い学校に行って

良い仕事について

良い生活を営めることを

願いますが

… 

「子供のために」やるべきことに

気を取られて

往々にして

目の前に居る

自分の子供を見失ってしまいます

 

「カネと永遠の経済成長が

子供達の為のめでたしめでたし」

など自らの「貪欲」の破壊性を

「未来の子供達のために」という

自己欺瞞で正当化する

薄っぺらな「お話」にすぎないことを

彼女は見抜きます

 

オトナ達が幼稚で無知蒙昧でなければ

一体なんで(How dare...?)

今の簡便な生活と

あっという間にゴミになってしまう

安モノのために

きれいな水と空気を汚染し

「愛する」子供達が生き延びることのできない未来を

作り上げることが

できるのでしょうか

 

彼女を批判する人達は

壊れた家に順応してしまった人達です

 

「オトナ達は充分頑張っている」

 

「そう言うお前だって経済成長の恩恵を被っている」

 

「口先だけで何もしない」

 

「オトナと子供の対立を煽っている」

 

「金持ちのクソガキの言う事だ」

 

彼女に対して反感を抱く人達は

オトナの欺瞞を指摘しても

黙殺され

逆ギレされて

「そんなことしたくない」

「そんなことまちがってる」

と口にすることすら

諦めてしまった人達です

 

子供らしい

「白黒」がはっきりした「正論」を

感情的に封殺されて

育ってきた人達です

 

切迫した現実を見つめる代わりに

「今大丈夫だから」

「皆やっているから」

と現状維持を正当化し

「壊れた家」を見つめようとしない

オトナに同一化し

子供の心を殺す人達です

 

彼女を「責任転嫁している」と責める人達は

オトナ達が自分に転じた責任を

甘んじて受け止め

「子供」であるべき時に

子供では居られなかった人達です

 

愛する母や理想の父を「まもる」ために

「文句を言わない良い子」であろうと

頑張りすぎて

 「否」と言えなかった人達です

 

子供を別個の人格として

尊重しない親に迎合することで

生き延びてきた人達は

経済成長の理念を掲げるオトナに

「あなたのやっていることは間違いだ」

と声を上げる彼女を憎悪します

 

オトナが自らの欲に駆られて

子供を護ろうとしない時

エディプスの

親殺しの悲劇は起こります

 

 

自我の確立とは

エディプス葛藤の克服を意味します

 

オトナに「否」と言えず

「自立」できなかった人達

及び「否」ということの

「罪悪感」を克服できない人達は

「自立した個人」を「羨望」し

破壊しようとします

 

 

「子供達のため」の経済成長に勤しみ

子供達を絞め殺す

オトナの矛盾と欺瞞への

「殺人的な怒り」を

露わにする彼女の演説に

恐怖し憤る人達は

自らの親の欺瞞や貪欲に

「否」と言えず(言っても聞き入れられず)

貪欲で嘘つきな親と同一化し

自己実現できず

破壊衝動に翻弄される人達です

 

「子供を殺そうとする」親を見つめ

「親を殺したい」欲動を克服し

親への信頼を回復できなかったが故

「子供に殺される」ことに慄く

エディプスの父王の

不安に苛まれる人達です

 

因みにセクシーでカッコいい不買運動

環境保護をめざすのも

良いのですが…

 

ワタクシ的には

「愛」するモノを食い尽くしてしまう

最も破壊的な「貪欲」と

エディプス葛藤を克服し

謝罪と修復で「愛」と「倫理」を回復する

精神分析がイチオシです

 

 

エディプス葛藤にモノ申して

フロイト講座」から

追逐された私の「解釈」はこちらです

https://neofreudian.hatenablog.com/entry/2018/04/27/102047

 

怒りに震えながらモノ申す

グレタのスピーチに感動する私は

子供の頃から

不都合な真実」を露わにし

「子供らしい正論」を振りかざして

オトナ達に

まあまあ、子供には分からないからな…

と宥められて

更にクッソーと憤る

負の連鎖を断ち切れてないようです