精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

京アニ事件によせて:統合失調患者を「なおす」のは不可能なのか

https://anond.hatelabo.jp/20190721105553

 

こんな記事を読んだ

 

京都アニメの放火犯人は精神疾患を患っていて

生活保護を受けていたというウワサだ

 

胸が痛くなる

 

統合失調は不治の病だ

 

では「救済」とは一体何なのか

「治療」とは一体何なのか

 

が問題になってくる

 

日本ではどうか知らんがアメリカでは

強制入院処置が行われる時に一番大切な判断基準は

他者を殺す危険があるか

自分を殺す危険があるか

である

 

つまりは自殺も他殺も精神疾患の「症状」とみなされるということだ*1

 

だから精神科医は患者が自殺、他殺、

薬物過剰摂取で「事故死」する度に

めちゃくちゃテンパる

 

自分が関わった人が死ぬことは誰でもショックだ

その悲哀に

「無能」のレッテルが貼られて干される危険性が

上乗せされるのだ

 

患者本人の利益をガン無視して

自分達に都合の良い治療計画を提示しない医師に不満を抱く家族が居たりすると

速攻で訴訟だ

 

誰にも不満がなくたって

カネをむしり取るチャンス!

とばかりハゲタカの様に襲いかかる

保険会社と弁護士の餌食になることもアルアルだ

 

話がズレてしまったが

アメリカの精神科医

患者が自殺や事故死したり

誰かを殺すと

「治療」の失敗として、その「責任」を(カネで)取らされる

ストレスに常に晒されている

ということだ

 

それが「良い」ことだとは私は決して思わない

 

が、

統合失調患者が無差別殺人したり

薬物依存症患者が違法行為に及ぶのは「治療」の不行き届き

という「認識」が日本人には欠けている

とは常々感じる

 

そしてその認識の欠如は精神医療への根強い不信感に基づくものである

 

ということに只ひたすら絶望感を覚える

 

因みに…

帰還兵のトラウマケアの徹底を目指してきた

アメリカでは

30余年前に高速道路で

ライフルをぶっ放して

5人くらい怪我させて2人くらい殺して

医療刑務所で服役したものの

今のところは投薬で「落ち着いて」いる

統合失調患者さんが外来でいたりします

 

ご家族との行き来はないそうですが

生活保護を受けつつ就労支援のバイトして

普段は物腰もおだやかで

(長続きはしないけど)彼女もたまにはできたりする

好々爺(?)です

 

彼の「治療」は今のところ

「成功」しているとみなされますが

彼が「救済」されたのかどうかは…

私的には微妙なトコロだと思います

 

続きも書きました

警察は統合失調患者を強制的に病院へ連れてくべきか

というお話です

https://neofreudian.hatenablog.com/entry/2019/07/25/201837 

*1:だから、良心の呵責を覚えず殺人を繰り返すモノには

サイコパス(正式名称はソシオパス=反社会性ですが…)という「診断」が下される