精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

母が壊れる時

こんなRTをした後で

 

こんな記事に

anond.hatelabo.jp

 

id:yutoma233 みどりの小野さんが

「やっぱり母ちゃん可哀想」

とコメントしておられました。

 

話題のツイは突拍子もない思考の飛躍が

思わず笑いを誘うリリカルなモノで…

 

「嫁さんを焼き殺すインド人…」の流れからの

「そして北海道の米は美味い」

で終わりかと思いきや、

最後の最後に

「まだ言うんかーい!」

って感じで終わらせるトコロとか…

「あーもう、この人、言わずにおれんねんな(共感)」

となり、大変私好みです。

 

が、この一連のリリカルでシニカルなツイのクレイジーさは

日本人にアルアルな

「心穏やかではいられない」

男女の確執の真理を突いている

 

だからこそ反響を呼んだのではないか…

と思ったので

書いてみようと思います。

 

分かり難いでしょうが、RTで私が意図したトコロは

 

オッカムさんが*1

米を味わいも「感謝」もせず流し込むことで

「母」を傷つけても

「父」は「息子」の暴力を黙殺(=あってなきがモノに)する…

そのような家族関係にあって「母」の「修復」は不可能である。

 

というコトです。*2 

 

全然分かりませんかね…

 

平たく言うと…

 

親父がワガママ息子を放置する

(=コントロールできない)と

息子は「母」の「怒り」を警戒して

「大人しく」はなれども

破壊性を制御(=コントロール)できる「大人」にも

生産性のある「男」にも

なり得ません

 

という精神分析理論のお話です。

 

おっぱい理論のクライン女史曰く…

 

嬰児の内的世界では

「善い」おっぱいを提供しない母親は

「悪い」おっぱいに豹変します。

 

嬰児の脆弱な「自我」が

「善い」おっぱいと「悪い」おっぱいを

「ゼン(全)なる母」として「統合」し

「愛」するためには…

 

「悪い」おっぱい(=実は「全なる母」の一側面)

を破壊した「自我」が

 

しまったー!

つい、

うっかり

「善い」おっぱいをも壊してしもた!

 

と戦き、悔み、喪にふくすことで

自身の破壊衝動と憎悪を克服し

「善い」おっぱいでもある

「ゼンなる母」を取り戻すことが

必要である。

 

子供が「自立」し他者を「愛」し得るには

自身の破壊衝動により

壊してしまった「旧い」対象と自我を弔い

「感謝」と「謝罪」を通じて

恒常的に

自他の関係性を修復し得ることが必要である。

 

って感じでしょうか…

 

つまりは「破壊性」を制御し

「創造性」に昇華することが必要である。

ってのは如何でしょうか…

 

…(この時点で離脱率何パーセントなんだろう…)

 

オッカムさんのツイートに沿って言うなら

 

「美味い米」を提供しない「母」

「敵」

つまりは「悪いおっぱい」

ということです。

 

「息子」は

ダークサイド堕ちした「母」と戦うために

「父」との同一化を果たします。*3

彼は父親の

「白米に汁をぶっかけ」て食べる行為に*4

「母」の愛を「否定」し「拒絶」する

暴力性を見出します。

 

「息子」が「父」と同一化して

「母」を拒絶し続けたことで

「母」はキレます。

 

「泣き出した」という描写なので

「悲嘆」と「激怒」が相まられたのでしょう…

 

泣き崩れる「母」を前に

「息子」が「謝罪した」

という描写はありません。

 

彼は自分の感じた「怒り」や「破壊的衝動」を

振り落とした「憑き物」として

あたかも「自分」のモノではないかのように

(ツイートでは)振る舞います。

 

しかし…

「母」がダークサイドに堕ち

美味い米を提供できなかった理由は

一体何だったのでしょうか…

 

「息子」の繊細な感受性を

理解できない愚鈍な「母」

という解釈もアリましょうが…

 

ツイートからは

「父」に不満を抱いていた

というのが最大の要因だったことが伺われます。

 

「母」が「息子」の要求に応じられないのは

「父」の稼ぎでは無理だからなのです。

 

かくして「息子」は

ケチで口先だけで

「母」を充足させられない

「無能」な「父」に

共感し、同一化します。

 

「父」は「無能」だ

となじる「母」は「敵」となり

「戦争」が勃発します。

 

品種改良という現実的「革命」も

無能な「父」とキレる「母」の「戦争」の火種に

油を注ぎます。

 

「北海道の米は美味しい」

と言いながらも

「息子」は既に「汁をかけて食べる米」を

「スタンダード」として受け入れ

「コメ自体の美味さを求めるのは信仰」である

と「母の愛」に幻滅し

理不尽だった自分の「攻撃性」に恥じ入るが故

「感謝」も「謝罪」も「修復」も

必要ないモノであるかのように

振る舞います…

 

勿論オッカムさんの「リアル」な親子関係に

「感謝」や「謝罪」や「修復」が見出だせない

というのは浅薄な解釈です。

 

彼のツイートの微笑ましさからは

「悪かった」とか「有難う」等、

「言わなくても分かっている」という

家族間の「信頼」が滲み出ます。*5

 

私的には

忌むべきは

素材で勝負する「美味しい北海道米」ではなく

勿論、不味い飯を美味しく頂く創意工夫=「味噌汁」でもなく

「愛」とヨロコビという

「真理」を見失い

利便と効率を妄信的に追求する

歪んだ「知性」と「技術」なのではないか

 

と思います。

 

知性が独り歩きしない為にも…

心に愛とヨロコビを取り戻す為にも

ぶっかけた「汁」の破壊性に

「父の愛」と「知性」と「技術」の融合を見出し

生産性に繋げる為にも

精神分析を御査証頂ければ幸いで御座います。

 

追記:おのしゃんから、こんなお返事を頂きました。

yutoma233.hatenablog.com

オッカムさんのツイのクレイジーさは

「イヤと大声で言っているのに食わざるを得ない」文化

つまりは #Metoo 案件多発地帯のクレイジーさでも

あるのだ!

とひらめいたので、蛇足ですが…

 

オッカムさんの(ツイで描かれた)家族は

やはり

「否」と言うべき「父」が機能しないが故

「母」が機能不全に陥ったシステム(=家庭)

とも言うべきでしょう。

 

只、好き嫌いモンスターが

絶賛肥満+糖尿病にガンガン侵される

メリケンの「イヤなら食わない文化」が

不健康な歪を生み出している。

とも感じます。

 

好き嫌いは自己実現の可能性を狭めます。

 

世のお母様方におきましては

「父の愛」に充足する「母」を心に抱くことで

「息子」は母の愛を感謝をもって享受し

イヤなモノには「否」を突きつける「力」を行使できる

強く優しく素敵な「男」になり得る…

 

ということを念頭において、

旦那様と睦まれることをオススメ致します。

合掌

 

睦みあえない男女の悲劇については

こんな記事も書いてます

 

鬼嫁に魅せられる男達 - 精神分析のススメ

拒絶しあう男女 ラブドールとセックスレス - 精神分析のススメ

*1:オッカムの刃=シンプルイズベスト、私も好みなフレーズです

因みに日本語では別名「ケチの原理」とも言うそうです…

*2:因みに「父」「母」「息子」は理論上の概念であり、

例えば母子家庭でも母親が「父」の機能を果たすとか

「息子」が実は娘であったりもします

*3:「おっぱい」問題は「口唇期」の飢餓

で、次の「肛門期固着」の症状は「ケチ」ですが…

味噌汁を「肛門期」に引っ掛けて解釈すると

ドン引きされそうなので

今回は見合わせて

「ぶっかけ」という言葉にも示唆される

その次の男根(エディパス)期

に飛ばせて頂きます

*4:ここで「母」を汚し辱める…

という解釈に走ると

肛門期固着の性愛嗜好が明らかになりますが…

自粛します

*5:実は母が一人で激オコという可能性もなきにしもあらずですが…