精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

【マザー!】観ました…

しばらく前になりますが

【マザー!】みたことも無い映画のススメ - 精神分析のススメ

観てもいない映画をオススメしてみました

(無責任…)。

 

今更ですが…

観ました。

ので、感想を書いてみます。

 

見どころは何と言っても

詩人(神様)のハビエル・バルデム

監督の恋人だった母(なる大地)役のジェニファー・ローレンス

そして(アダムとイブの)

エド・ハリスミシェル・ファイファー

迫真の演技だったと思います。

 

映像も象徴満載で大変興味深いです…

 

が…全体的には

「んー…微妙…」

でしたね

 

ダロノフスキー監督と言えば

統合失調症の「パイ」

薬物依存の「レクイエム・フォー・ドリーム

強迫観念→統合失調?な「ブラック・スワン

からの流れで

「元々ちょっとアブない人が

徐々に精神のバランスを失う過程を

緻密に耽美に描く」

のかと期待していたら

あれ?

ってちょっと拍子抜けました…

 

マザー!」は私が期待していた

自己愛性人格障害の描写というよりは

聖書を下敷きにした寓話色が濃くて

お話の意図を理解したり

楽しもうとすると

聖書を「読解」しようとするくらい

頭がウニになります

 

寓話的な作品というと

ピーター・グリーナウェイ

英国式庭園殺人事件 - Wikipediaとか、

セルゲイ・パラジャーノフ - Wikipediaの「ざくろの色」とか

ヴェラ・ヒティロヴァのひなぎく (映画) - Wikipedia

等はお話ワケわかめでも

映像が私の好みにハマるので

是非とも映画館で観たい!

となるのですが…

 

マザー!」は…まあ…

こだわって作ったのはスゴく伝わってきて

好きな人は好き

かな?くらいで、

映像美を堪能するために

2000+円払ってまで劇場で観たい!

って感じではなかったので、

日本では劇場公開しなかったのも

まあ…分かる

 

聖書と、西欧思想にがっつり食い込む「原罪」

に親しみのない日本人としては

絶賛、理解不可能

になるに違いない

と思いました

 

聖書に馴染みある欧米人にも

キツイ内容ですからね…

 

ざっくり言うと

全知全能の神は

アダムとイブがエデンの園を追われた様に

人間が罪を犯すことを

止もしないし

寧ろ容認するくせにキビシク罰する

ワケ分からんヤツ

という聖書の解釈を

環境汚染、資源の枯渇、血みどろの紛争に

罪悪感を抱きながらも

地球という生活圏を追われるべく

目の前の快楽、欲望に抗えない

現代人の姿に

重ね合わせている

ということで

そんなウザい(=見たくもない)「真実」を

カネ払ってまで誰も観たくはないだろうなー

というのが、私の率直な感想です

 

それにしても

しつこく言いますが

アロノフスキー監督「狂気」を描くのが

めちゃ上手いと思います。

 

マザー!」と一緒に

ブラック・スワン」も借りて観たのですが

強迫神経症(→境界例?)→統合失調

へと「悪化」する過程の描写が

「ピアニスト」とか、「ビューティフルマインド」より

(私にとっては)断然、説得力ありましたねー。