カネはリビドーの象徴?
リビドーって性欲とか、エロス(愛欲)とかって印象が強いのでしょうが、私的には、「欲動」って訳すのが一番しっくり来ると思っています。
「欲」とは、「欲しい!」と感じること。「動」は、「突き動かされる衝動」ってことです。
そう考えると、お金が、「欲動、」リビドーの象徴って、成る程ー。です。
欲しいし、手に入れるためには、突き動かされてしまう。
カネを、上手く制御できないと、時に破壊、暴力をも生みます。
とは云うものの、カネとリビドーの繋がりは、初めて聞いた時、実は、「かなりこじつけ?」 と、思っていました。
カネは、糞 (自分が創造するモノ) の象徴、でもありますからね。
学生時代の話です。某ユング研究所の学生割引料金設定が高価すぎる、と文句をつけた所、かなり年配の熟練分析家の方に、
「お金というものは、リビドーのようなものです。望んで放出できないのであれば、死んでいるのと同じことです。リビドーと同じように、放出すれば、それに見合った悦びを得られるはずです。」
みたいなこと、言われました。
頑張って数ヶ月通いましたが、どうしても、
「コストパフォーマンスが良くないので。」
という理由で、終結致しました。
「アメリカの研究所はカネの亡者だ。」
と言われている、というまことしやかな噂を聞きました。
閑話休題。
ここからが、本題です。理想論の展開なので、ウザいかもしれません。
脱サラして、フリーランスを楽しくやっている方達のブログを読んでいると、どうしても、気になることがあります。
不労所得の問題です。
会社で働けども働けども、安定感や、豊かな生活は得られない。投資に心惹かれるのも分かります。
社会福祉壊滅状態の、アメリカで、老後の安定を得ようとしたら、投資するしかありませんから。
投資を生活の安定の為にしていると、安全な投資をするようになります。ということは、大企業であればあるほど(倒産しない)、利潤の大きな企業であればあるほど(リターンが大きい)、好ましい。どんどん富の集約が進む。という大きな問題が生まれます。
エネルギー(石油、電気、ガス)を筆頭に、理不尽に利潤の大きな産業は、利益を上げるためには非人道的な手段を厭いません。労働者の福利、賃金は元より、環境への配慮など、規制がなければ毒を垂れ流すことにも良心の呵責を覚えません。
会社の倫理観が損なわれるのは、責任の所在が明らかではなくなったからだと思います。
今でも、枯葉剤をもじった、化学肥料や、除草剤、除虫剤で、世界を席巻するモンスター企業です。環境への悪影響を懸念して、抗議の声が上がりそうになると、各国政府や、学術研究機関に圧力をかけることなどお手の物。化学兵器開発に携わった歴史に鑑みて、死神の企業とまで言われています。
彼らが政治的影響力を誇れるのも、投資信託の御蔭様と言えましょう。モンサントの株主は、大銀行、証券会社で占められています。カネさえ儲ければ、それで良し。な金融に、牛耳られた会社に、倫理観など有り得ないのも当然です。
そして、銀行や証券は、顧客のカネさえ増やせれば、みんなを幸せにしているのですから、非社会的な運営を続ける大企業にカネをつぎ込むことも、「悪い」ことではなくなってしまうのです。
個人投資家も、ファンドと、一括りにされてしまうと、どの様な企業にカネを入れているのか分からないまま、将来の安定性に惹かれて無自覚なまま、富の集約、ひいては、貧富の格差拡大に貢献し続ける、という悪循環に嵌り込んでしまいます。
搾取されることに疲れて、金融市場に不労所得を求めると、搾取に貢献することになる(又は更なる搾取の犠牲となる)。虐待の負の連鎖と一緒です。
私は、カネ儲けの為に、軽々しい投資参入には懸念を覚えますが、投資の理念自体は「悪い」ことではないと思っています。
カネは、蓄積する物ではなく、回していく物。新しいことを始めたいのだけれど、資本がない人達に、希望を託す。という役割での投資には、決して反感を抱きません。
カネをリビドー(活きる力)の象徴とするのなら、投資も、単にカネ儲け(貯める)、という目的ではなく、自分が「良い」と信じる企業の、未来に「託す」気持ちで行ってこそ、金融市場に、社会に、健全なエネルギーを吹き込むことが出来るのではないでしょうか。
そして、その為には、投資先の企業の資本金額や、利益投影のみならず、労働者にいかに誠実に利益を還元しているか、福利厚生を行っているか、といったことをきちんと知ることが必要なのではないでしょうか。
因みに、VALUって、どうなんでしょうね。個人の可能性に投資する、という意味では好ましいとも思いますが、買った人が死んじゃったらどうなるんでしょう?癌とかで、闘病日記をVALU主だけに特別配信!とか、香典なしでもお通夜、告別式にいらして下さい!とか、形見分けにご優待!とかになったりするのも、えげつない気がするなあ。