精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

【グレタ・トゥーンベリ】のスピーチが何故刺さるのか その2

前回の記事に

https://neofreudian.hatenablog.com/entry/2019/09/26/192402?_ga=2.195537132.1526817281.1570379473-699501326.1533073212

ももはなさんから10点を頂き

いくらなんでも

これでは落第だよな…

となったので

リベンジします

 

グレタちゃんに対する反発が

ガンガンでて

世界中で炎上してましたね

 

多くの人が彼女に対して抱く

「憎悪」や「恐怖」について

前回は

エディプス期の

父殺しの不安を喚起するモノへの

「恐怖」を

「排除」する衝動

という視点で書きましたが…

 

今回は

求めてやまないモノ(=乳)を破壊する

クライン女史曰く

「最も原初的かつ破壊的な衝動」

である「羨望」に注目してみたい

と思います

 

とりあえず

20点くらいは頂きたいモノだ…

というユルイ意気込みで

書いてます…

 

彼女に対する批判(?)に

 

私達貧乏人は

カネがない切迫感に煽られているんだ

 

生態系の崩壊なんて

気にしてらんねーよ

 

 

というモノがあります

それを端的に表す

「カネ持ちのクソガキ」

というパワーワードがありました

 

 

相変わらず元ツイだけを引用するのが

面倒なので私のリプ付きですが…

 

「カネ持ち」自分も欲しくてたまらないカネを持っている

「クソガキ」感情的に怒りをぶちまけても

みんながちゃんと言うこと聞いてくれる

(甘やかしてくれる)

 

彼女が羨ましい

という

理性や自省心、倫理感といった

フィルターを全くを介さない

原初的過程を率直に表した

誠にパワフルなツイだと思います

 

しかしこの感傷(Sentiment)は*1

ちょっと考えてみると

めちゃくちゃ理不尽です

 

後のやり取りで

ツイ主さんも認めておられますが

「弱者が強者に抱くルサンチマン(怨念)」

は不毛でしかありませんからね

 

環境破壊によって起きる

天変地異や食糧難で

再起不能な打撃を受けるのは

常に「持てないモノ達」です

 

彼女が国連のスピーチで

告発したのは

カネのためには環境汚染も

非人道的な搾取も厭わない

倫理なき国際企業と

それらに癒着する

貪欲な政治家です

 

彼等を無邪気に支持する

オトナ達の未成熟さや愚鈍さ

を非難するモノでもあるので…

そこに反応する人達が多いのでしょうが

 

化石燃料による

二酸化炭素排出がヤバイと

国際的に顰蹙を買っている

オーストラリアのトップの

彼女に対する批判的な反応は*2

貪欲な国家の主として*3

扱い難い年頃の娘の「父」として

まあ、防衛的(Defensive)になるのも

(心情的には)分かりますが*4

 

紙やプラスチックの食器を

ガンガン使い捨てな

欧米に比べて

環境に優しい日本人の

しかもカネも権力もない

平民がSNS

こんなに彼女に反発しているのは

改めて興味深い現象だと

私は思います

 

精神分析的に云うと

「客観的に観て

コワがる理由が全くないモノに対して

あたかも自分が攻撃されているかのように憤り

攻撃的になる」

迫害妄想の根底には

「自らの破壊性に慄く脆弱な自我」

があります

 

クライン女史は

自我を恐怖に陥れる「原初的な衝動」とは

愛するモノを食い尽くす「貪欲」と

愛するモノを破壊する「羨望」

だと云います

 

自我に害悪をもたらすモノを排除する「憎悪」は

自我を護る

という「理屈」にかないます

 

悪いモノがコワイ

「認知の歪み」は

他者と共有する「現実認識能力」を破壊する

「分かり易い」

迫害妄想の根源で

まだまだ「狂気」としては

序の口です

 

自分が(自分に)「充足」できない

憤り(Frustration)から

求めてやまない

自我に必要な「良いモノ」を

破壊する衝動と

それに伴う自我の「荒廃」

すなわち「思考力の崩壊」こそが

「狂気」の真骨頂です

 

話が逸れそうなので

「カネ持ちのクソガキ」

如実に現れる「羨望」に話を戻します

 

原初的な「羨望」は

母の「乳」に抱くモノです

 

乳児に安心感、充足感、高揚感、多幸感

をもたらす素晴らしい「乳」

 

乳児が「乳」を「羨望」するとは

「狂気」の沙汰ですが…

 

素晴らしい「乳」が

思うがままにならないモノ

であるならば

例えソレが

自分の口の中にあって

自分の一部であろうとも

多幸感に浸れない

自分のモノとして

「同一化」できないならば

自分にとって必要な「乳」であれ

壊してしまえ

 

という救いようのない破壊性を

「羨望」と云います

 

男が妻の浮気に怒り

相手の男を殺すのは

エディプス葛藤の*5

「嫉妬」ですが

妻を殺してしまうのが

「羨望」と云えましょう*6

 

 

またまた話が逸れてしまったので

「カネ持ちのクソガキ」に戻ります

 

カネも

(外国語で)自己主張する言語能力も

国連のステージに立ち

世界中の人達の注目を一身にあつめられる機会も

持たなかった子供時代を送った人には

 

怒りを露わにし

好きなことを云い

学校をサボって好きなことができる

自分には与えられなかった

自由や子供時代を手にする

グレタちゃんは

「羨望」の対象です

 

本当は自分も

怒りを露わに

思ったことを云い

やりたいことをしたいのに

我慢を強いられた人は

自の「自由」を剥奪する

抑圧者と同一化して

理想の自分を破壊します

 

日本人、我慢しすぎで

どんどん自分達を

我慢できない状態に追い込んでる

ヤバイ連鎖にハマってる

と常々思います

*1:ツイ主さんは「ルサンチマン

という言葉を使われました

日本人の文学的表現の豊かさには

脱帽です

仏語や羅語の引用大好き

インテリアメリカンでも

Ressentiment

は中々でてこない

*2:https://www.theguardian.com/australia-news/2019/sep/25/morrison-responds-to-greta-thunberg-speech-by-warning-children-against-needless-climate-anxiety

*3:豪首相のモリソンには

2人の娘さんが居るそうで…

*4:だからといって

彼の態度が批判された

国家の元主の取るべきモノだとは

決して思えませんが

*5:パパいらない

僕、ママと結婚する

ってアレです

*6:めちゃくちゃ雑です

実際には

「羨望」に限らず

もっと広範で複雑な母(=女)に対する

「憎悪」があります

【ジョーカー】と 透明な僕ちゃん達

「ジョーカー」観た

という記事をまけもけさんが上げてたのを見かけた

https://www.gw2.biz/entry/2019/10/15/180000

その日…

実は私も「ジョーカー」を観に行く予定だったのです

 

観て帰って来たら

黄金頭さんも書いておられました

http://goldhead.hatenablog.com/entry/2019/10/14/191756

 

メンヘル職人と名乗るくらいやから

ここは書かなアカンやろ

と思ったのでトライしてみます

 

いや、全然「ジョーカー」の感想文ちゃうやろ

という出来あがりだし

ネタバレ嫌な方はそっ閉じして下さい

 

まけもけさんが触発されたという

https://www.konoutsu.com/entry/2019/10/13/080000

この記事を読んで

ぐったりきたり、めちょんこ疲れるのはイヤだなあ…

と怯えながら行ったので

はっきり言って

「なーんだ。そんなもんか」

ってな感じに拍子抜けした

というのが

第一印象です

 

救いようのないお話に

どにょ〜りするなら

ニコール・キッドマンが輪姦される

「ドッグ・ヴィル」


超衝撃作『ドッグヴィル』【1分映画批評】(感想/レビュー)

 

を撮った

ラース・フォン・トリアー監督作品とか

精神疾患のヤバみが垣間みられる

(ワタクシ的にはイチオシな

境界例(いや、統合失調かな…?)の地獄「ブラック・スワン」や


ブラック・スワン

薬物依存の泥沼「レクイエム・フォー・ドリーム

https://www.youtube.com/watch?v=41CuRl-Wae0

統合失調の闇「パイ」

https://www.youtube.com/watch?v=9wHgUpcpLpk

のアーロン・ダロノフスキー監督作品

がオススメ(どんなオススメや…

です

 

はっきり言って

「ジョーカー」には

 精神疾患の真髄とも云える

「現実からの乖離」

が説得力持って描かれてなかった…

(がっかり…

って感じです

 

が…

色んな方が

「刺さった」

という感想を抱いているのを読んで

もしかしたら

私は基本

自分が悲観的な抑うつ系人間なもので

 

マニック(躁)な人達の

自己肥大した現実認識能力の欠如に

「あんたらアホかい」

と徹底的に醒めた目線になってしまうのかも…

と思い当たってしまった 

 

マニックな防衛で

凄惨な現実から「自我」を護る

 

といえば

第二次世界大戦中のイタリアでの

ユダヤ人迫害を描く

ライフ・イズ・ビューティフル

https://www.youtube.com/watch?v=pAYEQP8gx3w

とか

ビヨークとカトリーヌ・ドヌーヴの好演が印象的な

シングル・マザーの女工の悲劇を描いた

ダンサー・イン・ザ・ダーク*1

 

 https://www.youtube.com/watch?v=NQ6HozU5TGo

が思い浮かびますが…

 

絶賛ポジティブな狂気を呈する主人公達に

イラつき過ぎて

素直に感情移入できなかった…*2

 

ものの…

「ジョーカー」は

ホアキン・フェニックス*3

好きすぎで

場違いな音楽がこれでもか

とかぶさるのには

いちいちイラつきましたが

ジョーカーにはイラつかなかったw

 

実は「ジョーカー」

遅刻して最初の15分くらい見逃したので…

ジョーカーの妄想部分がよく分かってなくて

混乱してたってーのもあるかもしれません

 

「ジョーカー」視聴後おまけで*4

精神分析的解釈及び質疑応答

がついており

懇切丁寧な解説で

「あ、なーんだ!アレもアレも妄想だったのか!」

と納得できました

 

ざっくり云うと

理想の父(ロバートデニーロのキャラとバットマンのパパ)という妄想も

母の愛という幻想も失った

ジョーカーは

失意にかられ

父母を殺した(→倫理の破壊)

という

解釈でしたが…

質疑応答では

精神疾患及び医療の描かれ方がヤバイから

偏見を増長したらどーすんねん

とか

暴力と「透明な僕」の関係性は如何に

とか

現代アメリカにおけるアナーキズムの台頭と愉快犯の関連は…

等色んな問題が提起されてました

 

おまけが一番楽しかったw

 

サイコパスの内面に迫る「ジョーカー」

 

「集団に溶け込めず

いつも自分が『オカシイ』

 

誰も自分がそこに居ることを認めてくれない

と感じて不幸だった。

(人を殺すことで)

初めて

自分の存在意義を認めてもらえた。

こんなに大切なことを言っているのに

何故あんたは聞こうともしてくれない」

 

みたいなことを

社会福祉士のおばちゃんに

訴えるも

おばちゃんに

 

「誰もあんたのことなんて

気にもかけちゃくれない

あたしだって職を失うんだ

だれもあたしの事なんて

気にしちゃいないんだよ」

 

みたいにあしらわれてしまうシーンに

 

日本の犯罪史上最小年齢の愉快犯として名だたる

「透明な」神戸の少年

を思い出しました

 

見守られたことのない子供達は

自他を破壊する暴力による

自己肥大感に溺れ

自分の存在意義を確認する

 

ということか…

 

とちょっと神戸の少年が「ジョーカー」観たらどう思うのか

気になってしまいました

 

はてなに居ないかな…

自己顕示欲ガンガンな人だから

匿名でブログなんて

無理ゲーかな

*1:前出のどんより専科ラース・フォン・トリアー監督作品です

邦題をグーグル様にお伺いしたら…

マツコデラックスがオススメしてて…

何故か

ヒィっ!?

ってなったw

*2:ダンサー・イン・ザ・ダーク」には

ダダ泣きさせられましたが

*3:実話を元にした「ドント・ウォーリー」


映画『ドント・ウォーリー』本予告(5/3金公開)

で惚れました

「世界は優しさで溢れている」

ってより

「自分を見失わなければどん底に落ちても幸せになれる」

って言って欲しいが…

アマゾンで配信してると思います

*4:追加料金払ったんで

厳密にはおまけじゃないんですけどね…

【グレタ・トゥーンベリ】のスピーチが何故刺さるのか

 

「未来のための金曜日」という学校ストをする

16歳の環境問題活動家のグレタさん

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/23037.html

が国連でしたスピーチが物議を醸しています

 

この方が全文訳をしておられます

https://note.mu/tkatsumi06j/n/n608a7b4894cd

 

歳を取って涙もろくなったのか

レゴムービーでも泣ける私は

彼女の熱弁(Impassioned speech)

に涙が出てしまいました

 

彼女のスピーチが心を揺さぶるのは

何故か

考察してみます

 

彼女のオトナたちへの怒りは

子供達が親に感じる

普遍的なモノである

 

と私は考えます

 

子供は親を見てます

 

彼女のスピーチは

「We'll be watching you」

で始まります

 

彼女は

子供で居られる時間を奪われた

と主張します

 

欲に駆られて

環境破壊に拍車をかけるオトナ達が

「次世代に希望を託す」

なんて自分の無責任を棚に上げた

御託を抜かすからです

 

アダルトチルドレンでも

ありましたよね

 

家族が機能してないと

子供が責任感を持つようになる

ってヤツが

 

崩れ落ちる家で

おちおち「子供」でなんて

居られません

 

彼女は

何故「ぼくの地球を守って」くれないの?

と子供を守るはずのオトナ達に訴えかけます

 

「こどものために」

頑張って働いて

学校に行かせる親は

子供が良い点数を取って

良い学校に行って

良い仕事について

良い生活を営めることを

願いますが

… 

「子供のために」やるべきことに

気を取られて

往々にして

目の前に居る

自分の子供を見失ってしまいます

 

「カネと永遠の経済成長が

子供達の為のめでたしめでたし」

など自らの「貪欲」の破壊性を

「未来の子供達のために」という

自己欺瞞で正当化する

薄っぺらな「お話」にすぎないことを

彼女は見抜きます

 

オトナ達が幼稚で無知蒙昧でなければ

一体なんで(How dare...?)

今の簡便な生活と

あっという間にゴミになってしまう

安モノのために

きれいな水と空気を汚染し

「愛する」子供達が生き延びることのできない未来を

作り上げることが

できるのでしょうか

 

彼女を批判する人達は

壊れた家に順応してしまった人達です

 

「オトナ達は充分頑張っている」

 

「そう言うお前だって経済成長の恩恵を被っている」

 

「口先だけで何もしない」

 

「オトナと子供の対立を煽っている」

 

「金持ちのクソガキの言う事だ」

 

彼女に対して反感を抱く人達は

オトナの欺瞞を指摘しても

黙殺され

逆ギレされて

「そんなことしたくない」

「そんなことまちがってる」

と口にすることすら

諦めてしまった人達です

 

子供らしい

「白黒」がはっきりした「正論」を

感情的に封殺されて

育ってきた人達です

 

切迫した現実を見つめる代わりに

「今大丈夫だから」

「皆やっているから」

と現状維持を正当化し

「壊れた家」を見つめようとしない

オトナに同一化し

子供の心を殺す人達です

 

彼女を「責任転嫁している」と責める人達は

オトナ達が自分に転じた責任を

甘んじて受け止め

「子供」であるべき時に

子供では居られなかった人達です

 

愛する母や理想の父を「まもる」ために

「文句を言わない良い子」であろうと

頑張りすぎて

 「否」と言えなかった人達です

 

子供を別個の人格として

尊重しない親に迎合することで

生き延びてきた人達は

経済成長の理念を掲げるオトナに

「あなたのやっていることは間違いだ」

と声を上げる彼女を憎悪します

 

オトナが自らの欲に駆られて

子供を護ろうとしない時

エディプスの

親殺しの悲劇は起こります

 

 

自我の確立とは

エディプス葛藤の克服を意味します

 

オトナに「否」と言えず

「自立」できなかった人達

及び「否」ということの

「罪悪感」を克服できない人達は

「自立した個人」を「羨望」し

破壊しようとします

 

 

「子供達のため」の経済成長に勤しみ

子供達を絞め殺す

オトナの矛盾と欺瞞への

「殺人的な怒り」を

露わにする彼女の演説に

恐怖し憤る人達は

自らの親の欺瞞や貪欲に

「否」と言えず(言っても聞き入れられず)

貪欲で嘘つきな親と同一化し

自己実現できず

破壊衝動に翻弄される人達です

 

「子供を殺そうとする」親を見つめ

「親を殺したい」欲動を克服し

親への信頼を回復できなかったが故

「子供に殺される」ことに慄く

エディプスの父王の

不安に苛まれる人達です

 

因みにセクシーでカッコいい不買運動

環境保護をめざすのも

良いのですが…

 

ワタクシ的には

「愛」するモノを食い尽くしてしまう

最も破壊的な「貪欲」と

エディプス葛藤を克服し

謝罪と修復で「愛」と「倫理」を回復する

精神分析がイチオシです

 

 

エディプス葛藤にモノ申して

フロイト講座」から

追逐された私の「解釈」はこちらです

https://neofreudian.hatenablog.com/entry/2018/04/27/102047

 

怒りに震えながらモノ申す

グレタのスピーチに感動する私は

子供の頃から

不都合な真実」を露わにし

「子供らしい正論」を振りかざして

オトナ達に

まあまあ、子供には分からないからな…

と宥められて

更にクッソーと憤る

負の連鎖を断ち切れてないようです

【若草物語】の作者、ルイーザ・メイ・オルコットの家に行ってきた

先日

日本からの客人の要望で

ルイーザ・メイ・オルコットの家に行ってきた。

 

こんなトコです。

http://tabiisara.com/column/sightseeing/North_America/United_States/59_450464_1480011259.html

 

意外と楽しかったので

書いてみる。

 

「意外と」

というのは

 

① 

米文学の造詣も深くなく

若草物語」とて

四人姉妹のピアノを弾く女の子が死ぬ話

という極めて曖昧な印象しかない

 

② 

アメリカが誇る文豪

オルコットやエマーソンの名前も

聞いたことがある

くらいで何も知らないに等しい

 

そんな私でも「楽しめた」のが

意外だったので

備忘録的に書いてみる。

 

マサチューセッツ州コンコードにある

オーチャードハウスは

若草物語」の舞台とされている。

 

ルイーザ・メイ・オルコットが

若草物語」を執筆したという机も残っているが

ルイーザが子供の頃住んだ家

というワケではないらしい。

 

ルイーザの父母は

福祉精神に満ちた

今で言うところの

「意識高い系」な親だったらしい。

 

父は建国直後のアメリカ合衆国

公共教育の必要性を謳い

ボストンで

ハーバード大学教授のご子息が通うような

ハイソな小学校(?)を運営するも

黒人を受け入れようとする

人権意識の高さが故

意識高くないカネ持ち白人の顰蹙かって

破産(?)したりして

精神的にも不安定だったりして

引っ越しを繰り返したそうだ。

 

母は由緒正しいお金持ちの令嬢だったが

社会福祉の信念崇高な為

清貧を厭わず*1

奴隷制度の廃止と男女平等の理念を

幼いルイーザに説いたという。

 

オーチャードハウス(果樹園の家)

という名前の

りんごの木に囲まれた

可愛らしい家である。

 

ルイーザが両親と共に

26−45歳までを過ごした家だそうだ。

 

日曜日の午前中に行ったら

日本人のグループが居て

一緒にツアーに加わるのかと思いきや…

 

窓から中を覗いただけで

去って行った…

 

家の中は

お一人様$10のツアーに参加しなければ

見られない。

 

かなり濃い内容で

がっつり英語が分からないと

つまらんのでは…

と思ったが

日本在住民的には

なんかよく分からんかったけど楽しかったヽ(^o^)丿

と言って悦んでた

 

ので

 

中を見たい

と思うならゆっくり時間をとって

行くとよい。

 

ツアーは45分程だが

混んでいると

次に始まるツアーに参加できず

1時間近く待つことになるかもしれない。

 

入り口のギフトショップで

お金を払うと

ツアー開始時間を書いた

札を渡された。

 

ギフトショップには

キッチンタオルや

子供のおもちゃ的な

小物類と

年齢に応じて(?)

様々な注釈や前書きのついた

色々なヴァージョンの「若草物語」が並んでいた。

 

英語では

Little women

という題名らしい。

 

日本語では

若草物語」と情趣深い題名が

何故こんな女性蔑視みたいな題名なん?

と素朴な疑問を

ツアーの札を渡してくれた

売店の女性に投げかけてみた。

 

彼女曰く

若草物語」は雑誌だか新聞だかの

連載が好評を博したので

出版が決まったが

ルイーザ自身は題名を決めていなかったそうだ。

 

大人の真似をする

ませた男児を今でも

Little man とか Young man

という云うように

当時大人びた女児を

Little woman

と呼ぶことが流行っていたので

編集者が半ば強引に決めてしまった

ということらしい。

 

売店の彼女は

その説明では編集の横暴さを

物語るには足りない

とでも思ったのか…

 

若草物語の好評に応えて

続編を書くようにと

出版社に請われた

ルイーザは当初

「女性の幸せは結婚」的な価値観を否定し

(自分がモデルの)ジョーを主人公にした続編では

ジョーを独身貴族(?)として描く予定にしていた。

 

ところが編集に

どうしても結婚させてくれ

と懇願されて

初恋(?)相手の若い男の子をふって

父親をモデルとした

年上の男性と結婚させるストーリーにすることで

妥協したのだ。

とアツく語ってくれた。

 

エマーソンやソローといった*2

アメリカのロマン主義の文豪と

親交を重ね

敬愛の念を抱いていた

彼女にとって

同世代の男性は

物足りなかったのだろう。*3

 

そうこうするうちに

ツアーの時間が来た。

 

若草物語の舞台となった家の模型(?)のある

小さな部屋に通され

15分程のドキュメンタリー(?)を

見せられる。

 

館長のおばちゃんが

ルイーザ・メイ・オルコットに扮してイロイロとお話してくれる

ビデオだったが…

いかんせん素人臭い演技で

ルイーザの偉業を語る度に

女性は教育を受ける機会がなかったのに・・・

フェミニストの怨念が噴出するのが

はっきり言ってウザかった。

 

女に生まれた

というだけで

勉強したいのに学校に通わせてもらえない

という事は不当だとは思うし

学校教育を受けなかった

ルイーザが不滅のベストセラーを執筆し

家族を養った

というのは並大抵ではない

とは思うが…

ことあるごとに「不公平」感を醸し出されるのも

げんなりする。(私の認知の歪みを反映する個人的な感想です

 

ツアーはギフトショップの奥にある

台所から始まり、

拙いながらも

初版「若草物語」の挿絵を描いた

アビゲイルの作品(絵画だけでなく彫刻もあった…気がする

ルイーザが使っていた寝室

両親の寝室

アビゲイルの部屋

夫を失った姉と彼女の子供達が暮らした部屋

等を閲覧しながら

オルコット家の歴史や

友人とのエピソードが

披露された。

 

印象に残ったのは

(記憶を辿って書くので正確さは保証できないが

オルコットという氏は元は

オル コックス(雄鶏)だったので

家紋に雄鶏が入っている

という話や

 

若草物語」では

戦争に行ったのは父親だったが

実際はルイーザ自身が

南北戦争従軍看護婦として

戦争を経験していたことや

 

従軍中に病に倒れ

治療薬に含まれていた水銀中毒のため

後々後遺症に悩まされ

日常生活を送ることが

困難だったこと

 

若草物語」の印税で

パリ留学を遂げた妹の

(そーいえば旦那は何をしていたのだろう…)

アビゲイル

黒人女性の肖像画で賞を獲得し

画家としてのキャリアが開けたものの

受賞の1年後に

産後の肥立ちが悪く

生まれたばかりの娘を遺して

非業の死を遂げたこと

 

アビゲイル亡き後

まだ1歳にもならない姪を養子に迎え

父親の啓蒙活動と

母親の福祉活動を金銭的に支える為に

執筆活動を続けたルイーザは

印税が自分の死後も家族に入るように*4

姉の息子達を養子にしたり

鉄道事業に投資する

極めて現実的な

金銭感覚を持ち合わせていたこと

 

オルコット家の奴隷制度廃止と

男女平等の倫理感の根底には

ルイーザの大伯父(?)が

悪名高いセーラム魔女裁判に携わった牧師であったことや

オーチャードハウスの隣の丘には

インディアンが囲い込まれており

白人の彼らに対する

非人道的な扱いを目の当たりにすることで

培われた(というのも変か…?)こと

等…(他にもコンコード出身の彫刻家との親交とか色々な話があったが…

 

あと、本棚に日本語の若草物語関連の本が何冊もあったw

ことくらいかな…

 

あ、ブッシュ元大統領*5

婦人バーバラのおかげで

家の修復や保存ができた

というのもちょっと意外で面白い豆知識だった。

 

アメリカ文学や建国史に興味のある人は

ボストンに来ることがあったら寄ってみると

楽しいと思う。

 

オーチャードハウスの後は

徒歩10−15分くらい

コンコードの街にある

コロニアルインという

アメリカ建国の戦に斃れた兵士の

幽霊が出るというウワサの

由緒正しい旅館で

https://www.concordscolonialinn.com/

ホワイトシチュー仕立てのクラムチャウダー

頂くのがオススメです。

 

夕方なら生演奏もある(かもしれない)奥のパブで

地ビール等を頂くのもイイ感じです。

*1:まあ、そーゆー人だから

こんな旦那を選んだのだろうが…

Wiki様曰く

https://en.wikipedia.org/wiki/Louisa_May_Alcott

金銭感覚もなく

メンタル不安定な夫に不満を抱えていた

という記述もあった

*2:ツアーガイドさん曰く

彼女の日記には

「エマーソン氏が部屋に居ると

明るい空気が充満する」

とか

「ソロー氏と散歩したら

やおら地面を指差して

『何が見える?』

と訊かれた。

何が何だか分からなかったが

美しい蜘蛛の巣がそこにある

と教えられた。

繊細で優しい人だ」

みたいな記述があるそうだ

エマーソンはバイセクシュアルで

男女共にモテモテだったらしいが

父親に近い年齢で

オルコット家がコンコードに住む頃には

既に妻子持ちだったし

一周り以上歳上のソローは

独身を貫いたが

ゲイだったのでは…というウワサなので

https://en.wikipedia.org/wiki/Henry_David_Thoreau

恋愛対象にはならなかったのだろう

*3:てか、男の子になりたい

ジョーの心の闇を描き

病を理由に縁談を断り

独身を貫いたルイーザは

ゲイだったというウワサもある

https://www.vanityfair.com/hollywood/2018/05/little-women-pbs-jo-march-louisa-may-alcott-winona-ryder-maya-hawke

*4:息子が居ないと

印税が遺族に入らないシステムだったらしい

*5:ボンクラ息子じゃない方

私かわいいから働かなくていいの

 

ツイッターで変なのが流行ってる…

 

と思ったら、これが元だったそうです

 

エリクソン先生曰く

フロイト教授的には

精神の健康とは

愛することと働くことにヨロコビを見出すことである

という見解だったそうですが…

 

日本人、薄給で働きすぎて

ヨロコビなんて見出だせない人が

多すぎだと思います

 

なので

働きすぎで楽しいこともできない

疲れ果て

「ツライ時に唱える呪文」が

コレなんですね

 

元ツイの人、めちゃくちゃセンスが良いな

と感心します

 

カロンという

パステルカラーの甘くてフワフワ

カワイイ高級菓子を片手に持ち

マリー・アントワネット

をイメージして

おフランス語の呪文を唱える

ということは

自分とは程遠い憧れが

実は

遊んで暮らせる「カワイイ」子供に戻りたい

という回帰願望に根差すモノであることにより

一層身近に感じられ

もしかしたら…

という希望と高揚感を平民に与えます

 

が…

無敵のカワイさで

フランス王宮を魅了した

アントワネット妃も

仏貴族の羨望が為

処刑台の露となりました。

 

私かわいいから働かなくていいの

の呪文には

社会で吊るされる

悲劇的な結末が待っております。

 

そんな悪魔の呪文を唱えて

ツライ瞬間を

フワフワ甘いお菓子を食べて

刹那的にやり過ごすよりも

精神分析で愛と仕事にヨロコビを見出すべく

自己実現に邁進して頂きたいモノです。

 

(これだけが言いたくて書きました

 

因みに…

Je n'ai pas besoin de travailler parceque je suis mignonne

長いな…

 

英語だと

I'm too cute to work

(余りにもカワイすぎる私は仕事なんてできない)

で済むのに…

アントワネット妃というよりは

90年台に一世を風靡した

Right said Fred(「よく言った、フレッド」って感じ?)

https://www.youtube.com/watch?v=P5mtclwloEQ

を彷彿とさせます。*1

 

もふもふなプシキャットを片手にダミ声で

あーイム とぅ せクスィ ふぉア まぃ をァク

と唱えてみるのも

良いかもしれません。

 

I'm Too Sexy

の後あっというまに消えてしまった

ライト・セッド・フレッド

 

僕ちゃんてば

プシキャット*2

を飼うにはセクシーすぎるんだ

 

と謳っておられますが

実はゲイではなくバイらしい。

 

今も現役で活動してて

びっくりしたー

 

全然変わってない

黒◯徹子みたいでコワイけど…

 

ツイッターでもフェイスブックでも

Right said Fred

で公式アカウントがあります

*1:よく見たら

彼らは英国人ですが

I'm too sexy for my land

のトコロで日本にも言及入ってて

80年台(?)のディスコや

竹の子族(?)のクリップが入ってて

www

*2:女性器の隠語です

ママ達が集う【おちんちん教室】は父親不在の闇

ツイッター

ママたちが集うおちんちん教室

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190904/k10012063061000.html

というモノがあると云うことを知ってひっくり返りました。

 

以下、使用上のご注意を守った上で

https://neofreudian.hatenablog.com/entry/2017/09/02/161542

読み進んで頂ければ幸いです。

 

はっきり言って

ママが息子のティンをむきむきはありえない

と思います。

 

以前も書きましたが

https://neofreudian.hatenablog.com/entry/2017/05/30/184946

息子のティンの取扱は

「父」の役割だと

私は思っております。*1

 

赤ちゃんでもない子供の尻を

無神経な親が拭くのでさえ

子供の心には傷を残します。

https://neofreudian.hatenablog.com/entry/2018/03/11/212649

 

「面倒を見る」とか「キレイにする」という名目で

子供が「否」ということを

親が強要するのは

「否」といえない

分離不全なオトナを造るレシピです。

 

私が「おちんちん教室」が「問題」だと感じるのは

幼い頃からむきむき体操を始めることで

「抵抗しない」=「否といわない」

息子を育てる

という MeToo 案件な部分です。

 

自分が(ママの「愛情」に)「否」と云うことを

許されないオトコ達は

自分の欲望に相手(の女性)が「否」と言う可能性など

受け入れられなくなってしまうのも

当然です。

 

とはいえ「不安」に駆られて

むきむき体操に勤しむ

お母様方はすべからく

ムスコを性的虐待

セクハラオヤジに育て上げる

分離不全な毒親である

などと云うつもりも

全くございません。

 

元記事にもありますように

諸悪の根源は

無責任な「父」への不信感で御座います。

 

パパ、ママ、息子の

親子三人連れで

パパはスマホに夢中

息子は「しっこー」

ママは「ちっ。こんな都合の悪い場所で…」

と顔をしかめながらも

颯爽と子供を抱えて

近くの木の元で放尿させる

という

「ちょっと…お宅様の息子さんは犬ですか…」*2

なシーンを見たりすると

日本のパパは

余りにも「不在」が過ぎる…

と絶望します。

 

世のパパ達には

「息子が包茎になってちんかす溜まり放題の

くさちんオトコになったらどうするの!」

とテンパるママを

きっちり抱き寄せて

落ち着かせられる余裕を持って

ムスコさんのお世話を

なさって欲しいモノで御座います。

 

トイレをキレイに使える

イイ男でないと…

https://however-down.hatenablog.com/entry/2018/04/25/070422

ももはなさんの云われるように

ティン切り落とされてしまいますからね…*3

*1:本気にしないで下さい。

象徴的な「父」と象徴的なティンの関係性のことです。

当地でも不安を抱える親御さんは

小児科医に相談しておられます

*2:当地では侮辱として

Son of a bitch(さノヴァびッチと発音しますが…

絶対に使わない方が良い言葉です)

と言う卑俗語があります

「メス犬の息子」

つまりは父親を知らない子

ということですが…

男に愛されない女の息子

ということだと

私は考えます

*3:因みに当地では

男児出産後

カジュアルに「割礼しておく?」

と訊かれます。

賛否両論ありますが…

第一のメリットは「清潔を保つ」だそうです

ホンマか(白目

そんな理由で嬰児のティンを切るとは…

オソロシすぎる…

というのがタトゥーもピアスも

見るだけでイタい

ヘタレな私の所感です

【胃に穴】ご出版おめでとうございます

はてなの有名人フミコさんが

書籍を発売されたそうだ

http://delete-all.hatenablog.com/entry/2019/09/06/115000

 

Amazon胃腸の医学で堂々の3位を

獲得されたらしい

 

おめでとうございます。

 

未収録エッセイを読んで

フミコさんを筆頭に

日本人男性の胃腸の不調は

失敗を赦さない「母」なるモノへの恐れ

が故なのでは…

 

と開眼したのでちょっと書いてみます。

 

フミコさんの

蛮勇を誇る御友人との思い出は

怪我を思いやり

送り届けた自分達に感謝することはおろか

理不尽に叱責する心無い母親と

コワイモノ知らずの友人への

嘲笑で締められています。

 

子供にとっては

自転車で盛大に転ぶのも

血が滲むのも

死の恐怖を喚起する

トラウマとなりえます。

 

それが

「大したことではない」

と思えるのは

「自分は大丈夫」

という実感を得られたモノだけです。

 

フミコさんのエピソードには

子供が無茶をして

失敗しても

「よくぞ生き延びた」

と誇らしく

頭をなでる「父」は

登場しません。

 

うちのバカをわざわざ送り届けてくれて

ありがとう。

もう大丈夫。

と感謝と安堵で迎える「母」も居ません。

 

蛮勇の母に

「いや、おばさん、

あなたの息子は誰が何を言っても

聞くようなヤツではありません。

やるといったら何が何でもやるヤツです。

僕たちは彼の怪我が心配で

送り届けたのに

怒られるのは心外です」*1

と毅然と臨むことは

事態を悪化させるだけだと

イタイ程承知しているフミコさんは

「トンビはトンビしか産まない」

と「道理」の通じない

友達にも彼の母親にも「失望」することで

言語化することもかなわない

やるせない「怒り」と「悲哀」を

「絶望」にすり替えます。

 

「失敗を恐れない」蛮勇族に巻き込まれて

イタイ目にあったフミコさんは

パブロフの犬のように

トラウマの軛に繋がれ

イタイ目を反復する衝動と

無力感に苛まれます。

 

フミコさんを含む

多くの日本人は

愛する子どもを喪う

不安と恐怖に駆られ

失敗を赦さず

蛮勇を誇る「子供」を「バカ」と罵る

「母」と同一化している

と私は推測します。

 

クボ君のエピソードでは

失敗に固執して成功を評価できない

自の暴力性を自戒する

フミコさんの罪悪感も伺われますが

そこには

「無能なクボ君」=愛されるクボ君

という

怒られないためのポイントを

しっかりスルーして

「自虐的に愛を求めるクボ君」の姿が

描かれています。

 

自虐のフミコさんは

失敗が許されない最大の恐怖は家庭にある

と、

この章を締めくくられております。

 

生産性を誇る

健全な自我の確立には

せいこう(成功及び性交)経験が

不可欠で御座います。

 

せいこうと別離の恐怖に慄き

胃に穴をあけてしまう

日本の企業戦士の皆様に於かれましては

仕事と家庭に

愛とヨロコビを見出すべく

精神分析を是非ともご査証頂きたい。

 

というのがワタクシの率直な感想で御座います。

 

フミコさんの書籍はこれが3冊目だそうです。

http://deleteall.hatenablog.com/entry/2019/08/30/103000

心からの祝福とさらなるご活躍をお祈り申し上げます。

 

フミコさんをネタにさせて頂いた記事

https://neofreudian.hatenablog.com/entry/2018/06/15/095348

こんなんも書いてます。

*1:コミュニケーション能力アルアルな

当地のクソガキ達は

これくらいさらっと言えるよう

「自己主張」の訓練を

生まれた時から課されています