精神分析のススメ

1970年代のNYCで一世を風靡したヒップな精神分析の啓蒙をめざす狂気専門家のブログです。

的確で哀しい【フミコ・フミオ】さんのひきこもり友人とのやりとり。

delete-all.hatenablog.com

この記事読んだだけで、読者になりました。

文章が素晴らしい。

 

精神分析とは趣を異にしますが、

アメリカの心理学者、ウィリアムジェイムス*1も分かり易く

良い事言ってくれるなあ…

と思わせるので、

私は大好きです。

 

http://u-note.me/note/47504033

(ウィリアムジェイムスの、素敵な名言がまとまってます)

 

彼には作家の弟、ヘンリーがいますが

しばしば、ウィリアムの方が文学的才能があって

ヘンリーの方が人間の心理を理解していた

と言われたりもします。

 

20年振りに再会したフミコさんの知り合いのFさんは、引きこもっていました。

彼は、Fさんとの

 

メタリカやガンズ&ローゼスで灰色に彩られた僕の高校生活のなかで、ショートケーキの苺のような、ささやかでスペシャルな思い出になっている。」

 

エピソードが、

 

「尻すぼみに終わってしまった」

 

ことを思い起こし、20年後の今回のエピソードに繋げます。

長い引用になりますが、素敵すぎるので。

 

「そのときもFはこう言ったのだ。「大丈夫か。お前、進学の悩みでもあるのか?」今日はスーツ姿の僕を心配して「昼間からこんなとこにいて大丈夫か。お前、仕事で悩みでもあるのか?」僕は世間体を気にする家族の要請でスーツを着ているけれども、Fと同じ、ただの無職だ。正直に今、働いていないんだ、というのはFの気持ちを裏切る気がして「暑いからさー。営業の合間に水を買いに立ち寄っただけ」と嘘をついた。俺みたいになるなよ、と笑うFに、後ろめたさから、適当に相槌を打つことしか僕には出来なかった。僕みたいに適当にやっている人間のことはいいから、自分の心配をしろよー、そんなんだから壊れるんだぞーとダイレクトに言葉に出来たらどれだけ楽だったろう?」

 

さくっと、たった22分掛けて書いた文章で

見事に、メンヘラとか、引きこもりになってしまう方たちの

「他人を心配、気遣いすぎて自分を壊してしまう」

傾向を捉えています。

 

更には、予期していないタイミングで

鋭い洞察力を持って、

「弱さ」や「痛み」の部分に深く踏み込んでこようとする彼等*2に対して

後ろめたく思いながらも引いてしまう…

やんわり拒絶せざるを得ない「防衛機能」*3

がっちり働いている「普通人」の心理状況を

とても巧みに描いていると思いました。

 

ヘンリージェームスの様な

鋭い心理描写を特徴とする作家さんになられる様

蔭ながら応援しています。

 

p.s. 4月18日の日記、 奥様、めっちゃ怒っておられますね。(汗)これは、もうラブレターを書くしかないです。「メタリカやガンズ&ローゼスで灰色に彩られた僕の人生のなかで、ショートケーキの苺のような、ささやかでスペシャルな貴女へ」って。彼女との結婚を決めた「ささやかでスペシャルな」理由を綿々と書き綴るしかありません。フミコさんの文章力で「合体グランドクロス」に至れなければ、もう離婚の覚悟を決めるしかないでしょう。

 

p.p.s. それと、中ジョッキ、美味しい季節になってきますが、程々に(依存症の記事書いてる最中っすからね)。

*1:実は、今ウィキって彼がフロイトとお友達だったことを知りました。

*2:こういう所が、空気読めない人、というレッテルに繫がるのだとおもいますが

*3:フロイト教授の言う、ディフェンスメカニズムというヤツです